定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年9月7日(木)

午前10時00分 午前11時10分

 

 

第2 出席者 小此木委員長、奥野、川本、北島、木村、安藤各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、山下生活安全局長、吉田刑事局長、桝田交通局長、松本警備局長、村田情報通信局長

植田サイバーセキュリティ・情報化審議官

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)平成29年度全国警察柔道選手権大会及び全国警察剣道選手権大会の結果について

官房長から、9月5日に開催された平成29年度全国警察柔道選手権大会及び全国警察剣道選手権大会の結果について報告があった。

川本委員より、「試合の組合せについて昨年指摘したところ、今年は改善され、予定時間に終了することができていた。このような改善も業務改革の一つであり、いろいろな面での業務改革を進めていただきたい」旨の発言があった。

 

(2)平成29年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について

サイバーセキュリティ・情報化審議官から、平成29年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について報告があった。

北島委員より、「インターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数、被害額が減少した点を注目しておきたい。一方、この分野に新たな手口が発生している点に懸念を表明しておきたい」旨の発言があった。

安藤委員より、「サイバーセキュリティ対策に関する高度な知識を有する専門家を育成する必要はあるが、一方で、交番等にこの種事案の相談があったときに対応できるように、一般の警察官もサイバーセキュリティ対策の基本的な知識、技能を身に付けられるようにしてもらいたい」旨の発言があり、官房長から、「人材育成の関係では、正に安藤委員がおっしゃるような形で、今警察も取り組んでいる。1つは、高度な知識を持つ専門家の育成であり、捜査員及び技官に対し、高度な専科教養を、段階的にレベルアップして行っているところである。もう1つは、警察官全体の底上げのため、初級及び中級検定制度のうち、基本的な知識を問う初級についてはほとんどの警察官に受験させているなど、高度な知識を持つ専門家の育成と、組織全体の底上げという両方の取組を、現在も進めているところである」旨の説明があった。

川本委員より、「インターネットバンキングに係る不正送金事犯に利用される口座は、ベトナム人名義のものが約5割にも達しているが、これに対してはどのような対策を講じているのか。留学生が帰国するときに口座を売っていると聞くが、何か対策を講じているのか」旨の発言があり、次長から、「実態を確認した上で、後日、改めて報告させていただきたい」旨の説明があった。

奥野委員より、「インターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数、被害額は減少したが、これは銀行側のシステム改良や個人の防犯対策が向上した結果とみてよいのか」旨の発言があり、サイバーセキュリティ・情報化審議官から、「加えて、犯行の手口が移行しているという要因がある」旨の説明があった。

木村委員より、「サイバー犯罪対策についてはこれまでも様々な意見が出ているので、是非とも具体的に対策を進めていただきたい」旨の発言があった。

 

(3)臍帯血による再生医療等安全性確保法違反事件の検挙について

生活安全局長から、他人の臍帯血を使用した再生医療を無届で行ったとして、愛媛県警察等による合同捜査本部が8月27日に再生医療等の安全性の確保等に関する法律違反(再生医療等提供計画の未提出)で被疑者6名を通常逮捕した旨の報告があった。

木村委員より、「これまでには見られなかった新たな犯罪である。社会の高齢化が進むと医療への関心も高まり、今後、この種の事案が増えてくる可能性は高いと思う。厚生労働省の所管ではあるが、警察庁でも一緒になって対策を進めてもらいたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「本件では、臍帯血の無届移植による違法治療の実態だけではなく、再生医療をめぐる様々な問題点も明らかになるなど、愛媛県警察を中心に各府県警察が連携した捜査は大変意義のあるものとなった。臍帯血の民間バンクは、その役割について疑問の声もある。今回のように犯罪の温床となるおそれもある。厚生労働省と協力の上、こうした臍帯血の民間バンクの在り方も考えるべきではないか」旨の発言があった。

北島委員より、「再生医療等安全性確保法が26年に施行されているにもかかわらず、しっかりと機能していなかった点が何よりも問題ではないかと思う」旨の発言があった。

生活安全局長から、「厚生労働省との関係であるが、これは新しい法律でもあり、我々も今回の捜査に当たって、現場でも、それから警察庁レベルでも連携しながら行っている。今後もしっかりと連携していきたいと思っているし、また、ここでいただいた様々な御意見も厚生労働省にしっかりとお伝えしたいと思っている」旨の説明があった。

木村委員より、「安全性に関して問題点があれば何らかの形での規制はあり得ると思う。今後、このような事案は多くなると思うので、是非、いろいろと考えていただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「国民の安全にかかわる問題であるので、厚生労働省としっかりと連携をしながら、取り組んでいきたいと思う」旨の説明があった。

 

(4)大量覚醒剤の押収及び暴力団員等の検挙について

刑事局長から、茨城県警察等による合同捜査本部が8月24日までに住吉会傘下組織幹部ら5名を覚せい剤取締法違反(営利目的所持)等で逮捕するとともに、覚醒剤約480kgを押収した旨の報告があった。

木村委員より、「昨年5月から覚醒剤の大量押収事件が続いているのは、警察が取締りを強化したために、暴力団が資金源を薬物取引に移したのではないか。このような水面下での暴力団による取引に対しても、しっかりと取り組んでいただきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「警察を始め、税関、海上保安庁、厚生労働省の麻薬取締部等多くの取締機関が連携して、一大オペレーションを展開した。捜査に関わった捜査員はかなりの人数に上るだろうが、史上4番目となる大量の覚醒剤を押収し、大変大きな成果を上げることができた。こうした事件の摘発はなかなか難しい。今回の場合は、茨城県警察の捜査員があきらめずに地道に捜査を続けて聞き込んだ情報が端緒となったという。このような大型の事件でも、情報の聞き込みの大切さを痛感した」旨の発言があった。

川本委員より、「今回の押収量は末端価格が数百億円にもなるようだが、それだけの利益を失ったことは、様々なことに波及してくるのではないか。暴力団が無理な活動をする可能性もあるという点も踏まえて、暴力団対策を進めていただきたい」旨の発言があった。

北島委員より、「関係機関と協力の上、これだけの成果を上げた点を評価したい。大量押収事件を検挙するためには、関係者の間で様々な苦労があると思うので、その点を労いたい」旨の発言があった。

刑事局長から、「薬物の密輸入事犯については、水面下で様々な取引がされており、このたびの事件は極めて大量の薬物取引であったが、今、御指摘があったとおり、薬物事犯の捜査に当たっては、情報の収集、関係機関との連携、それから国際的な連携が重要である。捜査員が暴力団関係捜査を通じて入手する情報収集力の強化の他、国内外の関係機関との連携を更に推進して、供給の遮断を進めてまいりたい。これにより、暴力団の資金源対策にも繋がっていくものと考える」旨の説明があった。

 

(5)茨城県稲敷郡美浦村における殺人等事件の検挙について

刑事局長から、平成16年1月に茨城県稲敷郡美浦村において女性の遺体が発見された事件について、茨城県警察が本年9月2日に被疑者を殺人・強姦致死罪で通常逮捕した旨の報告があった。

 

(6)安倍内閣総理大臣のインド訪問に伴う警護警備について

警備局長から、9月13日から15日までの間、首脳会談等のため、安倍内閣総理大臣がインドを訪問予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

 

3 その他

(1)官房長から、犯罪被害者等施策における進捗状況等について報告があった。

安藤委員より、「犯罪被害者等に関する調査を改めて行うことに大いに期待する。被害者支援は、実態を踏まえてこそ適切に行うことができると思うので、調査の方法や項目等が施策に生かされるよう、有識者の意見等もいただきながら行っていただきたい。犯罪被害者等施策のイベントは来場者が関係者中心になっているので、気運醸成のためには、一般的なイベントと連携するなど、関心の無い方の目にも触れやすくすればよいのではないか」旨の発言があった。

川本委員より、「世論調査の結果では、被害が潜在化しやすい犯罪にあった場合の相談先として、警察への相談が47%に達したのは、多くの方が警察に信頼を寄せていることの現れであり、そのことを大事にしてほしい。関係省庁との連携では、ワンストップ支援センターを設置して終わりにならないように注意しながら進めていただきたい。犯罪被害者を支える気運の醸成においては、声を上げた被害者は安全・安心な社会のために行動している点で警察の協力者と言えることから、被害者が攻撃のターゲットにならないように守ってあげてほしい」旨の発言があった。

北島委員より、「犯罪被害者等施策に関する事務が、昨年4月に内閣府から国家公安委員会・警察庁に移管されて以降、施策の実行に対する警察庁の非常に強い意識を感じる。第3次犯罪被害者等基本計画の中の「被害が潜在化しやすい犯罪被害者等に対する適切な支援の推進」を中心に、柱となる警察の施策の進捗状況を説明したことを強く歓迎したい」旨の発言があった。

官房長から、「御指摘の点については、よく肝に銘じ、推進してまいりたい。犯罪被害者等に関する調査については、被害が潜在化しやすい犯罪被害者の実態把握を目的とし、インターネットを使用した調査の実施を検討している。どの程度の回答数になるかは不明であるが、調査手法や質問項目等について、専門的な知見を持った方々の御意見等も伺いつつ、作業を進めている」旨の説明があった。