定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年12月21日(木)

午前10時00分 〜 午前11時15分

 

 

第2 出席者 小此木委員長、奥野、川本、北島、木村、安藤各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、山下生活安全局長、樹下刑事局長、桝田交通局長、松本警備局長、村田情報通信局長

植田サイバーセキュリティ・情報化審議官

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)犯罪被害者等給付金の裁定(大阪府・鳥取県)に対する審査請求事案の審理状況及び裁決について

官房長から、犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の審理状況及び裁決について説明があり、原案どおり決定した

 

(2)「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」について

交通局長から、外国人運転免許制度の対象国としてエストニア共和国を追加すること及び運転免許等に関する手数料の標準を見直すことを内容とした「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」並びに同政令案に対する意見の募集結果について説明があり、原案どおり決定した

川本委員より、「海外からの訪問者による放置駐車違反が非常に多いようだが、海外諸国と日本とでは、路上駐車に対する意識が全く違うということを踏まえて、対策を講じていただきたい」旨の発言があり、交通局長から、「訪日外国人のレンタカー利用が多いことを踏まえ、訪日外国人に対し、レンタカー事業者の御協力も得ながら、日本には路上に駐車可能なスペースがほとんど無いことも考慮に入れつつ、日本の交通ルールを周知してまいりたい」旨の説明があった。

安藤委員より、「日本の交通法規に関するリーフレットが英語、中国語、韓国語のみで作成されているが、言語の種類を増やすことはできないのか。さらに、来日の前に日本の交通法規を知ってもらうようにできないか」旨の発言があり、交通局長から、「他の言語によるリーフレットの作成や、来日前における日本の交通法規の周知については、訪日外国人の実態を踏まえつつ、関係団体と連携しながら検討してまいりたいと考えている」旨の説明があった。

奥野委員より、「訪日外国人の増加に伴いレンタカー利用も更に増加すると思うが、交通事故・違反防止対策をもう少し工夫できないか。日本の交通法規の周知が防止に繋がることから、リーフレットの言語の種類を増やしたり、特に多い駐車違反への対策として、日本の道路事情が海外とは大きく異なっていることを詳しく説明したりするなど、リーフレットの内容を見直してはどうか」旨の発言があり、交通局長から、「関係団体と連携しながら、訪日外国人に日本の交通ルールをより分かりやすく理解していただけるリーフレットを作成してまいりたい」旨の説明があった。

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。

 

2 報告事項

(1)平成30年度警察庁予算(案)の概要について

官房長から、平成30年度警察庁予算(案)の概要について報告があった。

北島委員より、「各省庁ともに政策立案過程総括審議官の設置が要求されているが、非常に注目度が高いと思うので、是非とも良い仕事をしていただきたい」旨の発言があった。

 

(2)監察の取扱い事案について

官房長から、皇宮警察の警部補による建造物侵入等事案に関し、同警察は、同警部補を12月21日に停職処分とする予定である旨、千葉県警察の警部による道路交通法違反等事案に関し、同県警察は、同警部を12月22日に免職処分とする予定である旨、静岡県警察の巡査部長による窃盗等事案に関し、同県警察は、同巡査部長を12月27日に免職処分とする予定である旨、及び大阪府警察の巡査長らによる道路交通法違反等事案に関し、同府警察は、同巡査長らを12月27日に免職処分等とする予定である旨の報告があった。

 

(3)古物営業の在り方に関する有識者会議の報告書について

生活安全局長から、10月から開催されてきた「古物営業の在り方に関する有識者会議」において取りまとめられた報告書について報告があった。

木村委員より、「フリーマーケットアプリ・サイトについては、マーケットの成長を妨害すべきではないが、急激に拡大すると盗品売買等のマイナス面も大きくなるおそれもあることから、問題が大きくなる前に、法規制も含めた対応策を検討していく必要がある」旨の発言があった。

奥野委員より、「今後、フリーマーケットアプリ・サイトによるマーケットは拡大する一方なので、警察は、それらが犯罪に利用されていないかどうかも含めて、しっかりと動向を注視してもらいたい」旨の発言があった。

川本委員より、「今回の古物営業に関する見直しは、時代に合わせて迅速に対応しようという良い事例だと思う。フリーマーケットアプリ・サイトについては、自主規制として取り組んでいる本人確認をどれだけ徹底できるかがポイントだと思う。今後、同アプリ・サイトは非常に大きな力を持っていくと思うので、そこでの犯罪は組織犯罪であるという観点で動向を把握していく必要がある」旨の発言があり、生活安全局長から、「第2回有識者会議において、株式会社メルカリ及びヤフー株式会社から各社の取組についてヒアリングを実施した。株式会社メルカリについては、古物営業法でインターネット・オークション事業者に求められている努力義務と同レベルの本人確認を行うべく、12月4日から本人確認対策を強化するとともに、モニタリングの強化や人工知能を活用した不正対策を進めることとしている。また、関係事業者に声をかけ、業界全体で取り組んでいく旨の発言もあった。警察としては、今後、フリマアプリ等の事業者による自主規制の取組状況を注視するとともに、盗品流通の実態把握や関係団体との情報交換に努めてまいりたい」旨の説明があった。

北島委員より、「古物営業法の改正法案は、いつ提出するのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「次期通常国会で法案を提出すべく、現在、必要な作業を進めているところである」旨の説明があった。

安藤委員より、「暴力団排除条項の導入も含め、必要なものが迅速に集約できたと思うので、今後、実効性のある形で対応していただくよう期待したい」旨の発言があった。

木村委員より、「今回の見直しのように、規制緩和を進めながら、世の中に合った仕組みを構築することが大事なので、警察庁でも積極的に進めていただきたい」旨の発言があった。

 

(4)座間市における事件の再発防止策について

生活安全局長から、今月19日に開催された関係閣僚会議で取りまとめられた、神奈川県座間市における多数被害者を伴う事件に関する再発防止策について報告があった

木村委員より、「政府における再発防止策の「インターネットを通じて自殺願望を発信する若者の心のケア」に係る施策は、いずれも対応が難しいと思うが、具体的にはどのように対応するのか。また、「自殺」をキーワードとしてSNS等への書き込み対策を講じるが、「自殺」にとらわれることなく対応していただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「厚生労働省からは、各自治体やNPO団体が自殺防止のために悩みを聞く活動をしており、いろいろな窓口において面談や電話相談を受けていると聞いている。また、検索エンジンのヤフーやグーグルで「死にたい」等と入力すると、検索画面の冒頭に相談窓口が表示されるという取組が、既に開始されたところである。それでも、実際に電話をかけてくれるのか、などの課題があるため、ICTを活用した相談機能の強化策の一つとして、検索事業者やSNS事業者とNPO団体等の協議の場を設置して、ネット上から相談窓口に繋がる仕組みを検討することが掲げられている。また、長野県教育委員会が、一般的な若者の悩みを聞く取組として、本年9月にLINEの協力を得てSNSによる相談事業を試行したところ、電話相談よりはるかに多くの相談を受けたと聞いている。ただ、これは相談を受ける側に必要な知見が従来とは異なるので、相談の担い手を育てることも課題であり、厚生労働省が今年度と来年度の予算で、全国25箇所くらいでモデル事業を積み重ねて展開していくものと承知している。こうした施策に取り組むほか、広く若者の悩みにどう対応するのかについては、居場所作りも含めて、関係機関と協議し、警察としても適切に対応したい」旨の説明があった。

安藤委員より、「再発防止策を進めるためにも、本事件の徹底解明を尽くしていただきたい。都道府県警察の取組においては、各種活動を通じて自殺願望者を把握できるような体制の充実、対応スキルの向上、関係機関との適切な連携に取り組んでもらいたい」旨の発言があった。

北島委員より、「新たに自殺の誘引・勧誘情報等がインターネット・ホットラインセンターへの通報対象に加えられるが、同センターの業務の成果が上がることを期待したい」旨の発言があった。

 

(5)日本サイバー犯罪対策センターによるインターネットショッピングに係る詐欺サイト対策について

サイバーセキュリティ・情報化審議官から、インターネットショッピングに係る詐欺を目的とするサイトによる被害防止を目的として、5月以降、一般財団法人日本サイバー犯罪対策センターが実施してきた対策について報告があった。

川本委員より、「インターネットショッピングに係る詐欺サイト情報に一般の方はあまり触れられないので、この種の情報が広く行きわたるようにしていただきたい」旨の発言があった。

北島委員より、「本件については、日本サイバー犯罪対策センターの坂理事が自ら会見をしたようだが、今後も、JC3の活動を広く知らしめるよう努力をする必要があると思う」旨の発言があった。

 

(6)天皇誕生日一般参賀及び平成30年新年一般参賀に伴う警備について

警備局長から、天皇誕生日の一般参賀及び新年の一般参賀に伴う警備について報告があった。

 

3 その他

奥野委員より、「毎年11月に全国で実施される指名手配被疑者捜査強化月間は、指名手配被疑者数、同検挙人員ともに漸減傾向にあるところ、本年は検挙人員が若干減少しつつも、それなりの成果があったと聞いた。従来、指名手配被疑者の多くを占めていた窃盗事件が減少するなど犯罪も多様化し、また地域社会における人間関係の希薄化等により住民から情報を得ることが難しくなるなど、警察捜査を取り巻く環境が変わりつつある中で、指名手配被疑者を1か月の間に集中して捜査をすることにどれほどの効果があるのか疑問に思われる。立ち回り先の捜査等は、年間を通じて行う必要があるのではないか。また、「月間」といういわゆる業務推進運動は、どうしても成果を出すために数字合わせに走りやすいという問題もあり、現場に無理が無いのか懸念を抱く。警察庁では、数年前にこの種の全国的な月間運動を大幅に整理したと聞くが、各都道府県警察単位では、指名手配被疑者捜査強化月間以外にも様々な月間運動がまだ残っているようである。来年の月間計画を作成する段階で、その在り方、効果を含め、もう一度検討したらどうかと思う」旨の発言があり、刑事局長から、「指名手配被疑者捜査強化月間については、一定の期間、全国警察が所在不明被疑者の追跡に集中的に取り組み、その底上げを図るものであり、その趣旨に沿った一定の成果は出ていると考えられるが、更に効率的に成果を出していくため、検挙に結び付く具体的な指導をしていくことが必要と思う。」旨、官房長から、「政府全体として取り組んでいるために、警察の判断で廃止することはできない月間もあるが、業務の合理化の大きな柱の一つとして、必要最小限で実施しているところである」旨の説明があった。