定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 令和3年2月25日(木)

午前10時00分 〜 午前12時00分

 

場 所 国家公安委員会室

 

第2 出席者 小此木委員長、安藤、小田、櫻井、横畠、宮崎各委員

松本長官、中村次長、露木官房長、小田部生活安全局長、藤本刑事局長、木交通局長、大石警備局長、砂田情報通信局長

 

第3  議 事

 

1 議題事項

(1)「警察用航空機の運用等に関する規則の一部を改正する規則案」について

警備局長から、「警察用航空機の運用等に関する規則の一部を改正する規則案」について説明があり、原案どおり決定した。

櫻井委員より、「警察庁長官による指揮監督権や航空業務計画への本部長の関与が明確化されており、評価できる。都道府県や市区町村との関係の将来像を考えるに当たり、他の法律も参考にするとよいと思う」旨、横畠委員より、「限られた貴重な資源を活用する観点から、都道府県に分かれている仕組みの中で警察力を適正、的確に発揮するための妥当な改正である」旨、安藤委員より、「航空機の配備は高額な予算を必要とするものであり、操縦士の確保もあわせ、難しいハードルがあるかもしれないが、充実させていってほしい」旨、宮崎委員より、「航空機の運用を災害対応に拡大するにあたり、十分対応できる機能がハード・ソフト両面で整っているのか伺いたい」旨の発言があり、警備局長から、「警備警察の下で航空機を一体に管理することで、訓練や資機材の充実強化をしっかり行ってまいりたい。操縦士については、工夫をこらして人材確保に努めたい」旨、長官から、「地域ごとの運用にばらつきのあった航空機を全国統一的に運用するため、平時から警備部門が広域的な視野でみていくこととした。サイバー関係等他の分野でも全国統一的な運用は課題の一つである」旨、次長から、「航空機の調達や操縦士の確保を効率的に進めていくことに加え、災害現場の撮影等をドローン等で代用するなど、複合的に考えながら、災害対策をはじめとした航空機の運用を多角的に考えてまいりたい」旨の説明があった。

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

(3)国家公安委員会委員長を代理する者の互選について

国家公安委員会委員長を代理する者の順位について、委員間の互選により、2月25日以降、第1順位安藤委員、第2順位小田委員、第3順位櫻井委員、第4順位横畠委員、第5順位宮崎委員とすることとした。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

    官房長から、国会の状況について報告があった。

 

(2)令和2年における被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則の施行状況について

    官房長から、令和2年における被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則の施行状況について報告があった。

    安藤委員より、「最近は否認事件が増えており、取調官も苦労していると思うが、精神的に耐えうる力を含め、取調べのプロとしてのスキルが身につけられるよう、指導をお願いしたい」旨、小田委員より、「監督対象行為の類型を見ると、便宜供与だけ異質であり、記載する順序に疑問を感じる」旨、宮崎委員より、「事実をあぶり出す苦労には敬服するが、研修等を受けても監督対象行為をしてしまう者は異動させるなどの工夫もしているのか」旨、櫻井委員より、「不適切な取調べの結果、無罪判決が出されたといった事態が二度と起きないようにするという本制度導入の趣旨に鑑み、厳格にみていただくよう、お願いしたい。なお、都道府県警察によって取調べの在り方が異なるので、県警ごとに見ていくことが大事である」旨の発言があり、官房長から、「監督対象行為は、被疑者を畏怖させたり困惑させるものと、便宜供与のように取調官が有利な供述を得る方向に誘導するものと、質の違いはあるものの、いずれも被疑者の供述の任意性に疑いを生じさせかねない点で共通している。記載順は、規則に倣っただけであるので、御指摘を踏まえ、見直していきたい。また、監督対象行為の程度が激しいものなどについては、人事的措置を講じている」旨の説明があった。

 

(3)令和2年における犯罪収益移転防止法の施行状況等について

    刑事局長から、令和2年における犯罪収益移転防止法の施行状況等について報告があった。

    櫻井委員より、「警察庁として、もっと積極的に報告徴収を行うべきではないか」旨、横畠委員より、「この年次報告書は、事業者側の担当者が実務的に使える、よくまとまった資料だと思う」旨、安藤委員より、「国民の理解を深めるため、年次報告書の公表の在り方について工夫をしていただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「例えば、特殊詐欺の取締りの過程などにおいて情報があれば、報告徴収をするよう取り組んでいる。また毎年警察庁ホームページに年次報告書等を掲載したり、業界団体事業者に配布しているが、公表の在り方を更に工夫してまいりたい」旨の説明があった。

 

(4)令和2年における日・米重大犯罪防止対処協定(PCSC協定)の実施状況について

    刑事局長から、令和2年における日・米重大犯罪防止対処協定(PCSC協定)の実施状況について報告があった。

    横畠委員より、「あまり活用されていないようだが、その理由を伺いたい」旨の発言があり、刑事局長から、「御指摘の点については、具体的にこれに当てはまる事案の有無のほか、米国側の状況もあると思われる。外国と関連があるようなケースなどにおいて、より活用できるようにしてまいりたい」旨の説明があった。

 

(5)改正道路交通法の施行状況について

    交通局長から、改正道路交通法(令和元年及び2年)の施行状況について報告があった。

    横畠委員より、「罰則の強化が効果的であったことが明らかになった。ドライブレコーダーの映像が客観証拠になることも多く、技術的進歩に合わせて立証可能な犯罪類型を作ったことも良かったと思う」旨、小田委員より、「道交法で妨害運転罪を規定するまでの迅速な対応が評価できる」旨、安藤委員より、「国民の意識の高まりに素早く反応し、法律改正につなげたことは優れた点だと思う。この時期に法改正前後の比較をしていただいたことで、適切なタイミングでの法改正であったことが確認できた。最近の自転車のあおり運転を始め、更に安全な対応を目指していただきたい」旨、宮崎委員より、「罰金を倍にしたら、違反が半分になったという明確なエビデンスがある事例である。社会にもっと響くよう、インパクトのある見出しでの情報発信の仕方を工夫していただきたい」旨、櫻井委員より、「携帯電話使用等の関係では、罰則により抑止効果が働いており、非常に効果があった。妨害運転罪については、既に規制する規範があっても、新たな罪を新設することで取締りがしやすくなる例となった」旨の発言があった。

 

(6)大規模災害への対応と課題 〜東日本大震災から10年を迎えて〜

    警備局長から、東日本大震災から10年を踏まえた大規模災害への対応と課題について報告があった。

    小田委員より、「大規模災害に対する警察の問題意識や方向性について非常によくまとめられている。警察の仕事は治安の維持と犯罪の取締りが柱ではあるが、震災、台風、噴火等における人命救助や避難誘導の比重は大きくなっている。そのための予算確保のため、国民の理解が得られるよう、警察の仕事について積極的に広報をしていく必要がある」旨、櫻井委員より、「原子力災害のような災害対策基本法で想定していない災害について研究する必要があると思っている。災害といっても様々な類型があり、各省庁によって専門的知見が異なる中で、警察は何をすべきかシミュレーションすることが大きな課題である」旨、宮崎委員より、「発災時の人名救助から復興への長期にわたるプロセスまで国一丸となって取り組まなければいけない場合に、関係省庁がどのように役割分担し、全体をどうコーディネートするのかを整理する必要がある」旨の発言があった。