定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 令和4年1月27日(木)

午前10時00分 〜 午前11時30分

 

場 所 国家公安委員会室

 

第2 出席者 二之湯委員長、小田、櫻井、横畠、宮崎、安藤各委員

中村長官、露木次長、小島官房長緒方生活安全局長、大賀刑事局長、楠交通局長、河原情報通信局長

近藤総括審議官、安田警備運用部長

直江首席監察官

 

第3  議 事

 

1 議題事項

(1)審査請求に関する情報公開・個人情報保護審査会への諮問について

総括審議官から、審査請求に関する情報公開・個人情報保護審査会への諮問について説明があり、原案どおり決定した。

櫻井委員より、「審査会の答申は公表されるので、警察庁としても緊張感をもって対応していただきたい」旨の発言があり、総括審議官から、「必要に応じてしっかり対応してまいりたい」旨の説明があった。

 

(2)「道路交通法の一部を改正する法律案」の骨子について

交通局長から、「道路交通法の一部を改正する法律案」の骨子について説明があり、原案どおり了承した。

小田委員より、「電動キックボードの改正には反対である。自動運転や自動配送ロボットには社会的ニーズが認められるが、電動キックボードにはそのような意義はなく、交通安全上、免許を不要とすることは危険であり、このような法改正を進める必要があるのか疑問である」旨、横畠委員より、「幅広い交通主体の中で、現在は原動機付自転車以上に免許制を採用しているが、電動キックボードの速度や重量、運転に必要な技量については自転車に近いものがあり、自転車と同様に免許を不要とすることには合理性がある。他方、前提として、自転車も電動キックボードも、交通ルールを周知させるための対策や効果的な指導・取締りが必要である。また、マイナンバーカードと免許証の一体化については、国民に身近なものなので、分かりやすい広報に努めていただきたい」旨、安藤委員より、「一部の電動キックボードを既存の原動機付自転車から切り出して新たな交通ルールを定めることについては基本的には了承したい。一方で、この交通ルールが国民の支持を得られるのか懸念があるので、国民へ十分な説明をしつつ、様々な意見を踏まえて柔軟に対応していただきたい」旨、宮崎委員より、「電動キックボードを免許不要とすることは秩序維持の面でも懸念される。我が国の技術面での国際競争力を削ぐようなことは避けたいが、コロナ収束後、海外からの観光客等が戻ってきた折には、異なる行動規範を抑止する法的根拠も必要だろう。まずは第一段階として交通ルールを整備し、状況に応じて改善できるフレキシビリティを持たせられないか」旨、櫻井委員より、「自動運転について、許可の審査に際して関係機関からどのような観点で意見を聴取するか明記されているが、道路は通行するのみならず、人の集まる公共空間としての性質も有しており、他にも聴取に際して考慮すべき観点があるのではないか」旨の発言があり、交通局長から、「今回は自転車に近い電動キックボードを切り出して交通ルールを整備するものである。国民に丁寧に説明し理解を得るとともに、交通安全対策についても力を入れていく所存であり、お示しした骨子で進めさせていただきたい。自動運転の許可審査における意見聴取については、法律のみではなく内閣府令も含め、全体として必要な意見を聴取できるようにしてまいりたい」旨の説明があった。

小田委員より、「車道と歩道の間にその他レーンが設けられるなど、道路環境が整備されている国では電動キックボードに乗る際の免許やヘルメットが不要とされているが、そのような道路環境が整備されていない日本において、同じような条件とするのはいかがなものかと思う」旨の発言があった。

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

 官房長から、国会の状況について報告があった。

 

(2)監察の取扱い事案について

   首席監察官から、京都府警察の警部補らによる捜査諸雑費等詐取事案に関し、同府警察は、同警部補らを免職処分等とする予定である旨の報告があった。

   宮崎委員より、「このような事案が起きないよう、ICカードを持たせるなど、システム的に対応すべきである。また、実際にはするべき捜査をしていなかったことの方が重大であると思う」旨の発言があり、首席監察官から、「仕事に対する甘さがあったと思う。業務指導の充実も図ってまいりたい」旨の説明があった。

 

3 その他

(1)交通局長から、自転車総合通達の発出について報告があった。

   宮崎委員より、「遵法意識については、特に高校生以上は意識以前にルールを知らないことが多いので、そこを注意していただきたい。また、例えばeラーニングを取り入れるなど、現代に合うような形で子供たちに周知してはどうか」旨、安藤委員より、「取組の具体的なものが指摘されており、特に全ての年齢層に対する自転車安全教育の推進については強調して働き掛けていただきたい。全てを警察が担うのではなく、警察のデータを情報共有するなどして、関係機関・団体とも連携を図っていただきたい」旨、横畠委員より、「メリハリのある指導取締りという観点では、重点地区を選定して周知させることは大変合理的な仕組みである。当面は重大・悪質なものには刑事罰をしっかり追及し、そうでないものには適切な指導をしていただきたい」旨、小田委員より、「コロナ禍で自転車の利用者が増え、配送業務に伴う事故等も増えていることから、重点地区を選定する上で配送業者が使用する道路であるかどうかも観点として必要ではないか」旨、櫻井委員より、「通達をもっとシンプルに作れると良い思う」旨の発言があり、交通局長から、「ご指摘踏まえ、自転車のルールをしっかり周知していくとともに、関係機関・団体との連携については、道路空間を整備する道路管理者や、自動車利用推進計画を定める各自治体等としっかり連携して取り組んでまいりたい。また、取締りについては、実効性のある指導警告、悪質・危険なものにはついては取締り、という方向で各都道府県警察と連携するほか、自転車を利用する配送業者の実態が重点地区・路線に反映されるよう取り組んでまいりたい」旨の説明があった。

 

(2)櫻井委員より、「コインハイブの事件について最高裁で無罪判決が出たが、受け止めを伺いたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「この事件の争点は、ウイルス罪における不正性について、PCに与える影響等が極めて軽微である一方、そこで得られた経済的価値がプログラムの改良等に役立てられ得ることを総合的に考慮し、不正性には当たらない、と判断されたものである。警察としては、この判決をしっかり受け止め、個々のケースについて罪となるか否かをしっかり見極め、より慎重に捜査をしていく責任があると受け止めている」旨、次長より、「インターネットの技術革新が著しい中で、警察の取締りの在り方が問われているように思う。いずれにしても、引き続き世の中の常識にのっとった形での運用を心掛けたい」旨の説明があった。

宮崎委員より、「その分野で何が倫理で何が正義なのかということが揺らいでいるのは確かだと思う。一般常識としてどうあるべきかということを社会全体に啓蒙していく必要があるのではないか」旨の発言があった。