定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 令和4年3月10日(木)

午前10時00分 〜 午前11時40分

 

場 所 国家公安委員会室

 

第2 出席者 二之湯委員長、小田、櫻井、横畠、宮崎、安藤各委員

中村長官、露木次長、小島官房長緒方生活安全局長、大賀刑事局長、楠交通局長、櫻澤警備局長、河原情報通信局長

直江首席監察官

 

第3  議 事

 

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)令和4年度国家公安委員会・警察庁交通安全業務計画について

交通局長から、令和4年度国家公安委員会・警察庁交通安全業務計画について説明があり、原案どおり決定した。

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

 官房長から、国会の状況について報告があった。

 

(2)「刑法等の一部を改正する法律案」等について

   官房長から、「刑法等の一部を改正する法律案」等について報告があった。

   櫻井委員より、「拘禁刑の創設は、実質的にどのような意味を持つのか」旨の発言があり、官房長から、「これまで懲役は一律に作業を行わせなければならなかったところ、拘禁刑を創設することで、作業だけではなく、指導を組み合わせることで、受刑者個々の特性に応じた処遇の推進が可能となるという説明を法務省から受けている」旨の説明があった。

   横畠委員より、「これまでの懲役刑と禁錮刑には「刑罰とは何か」、「労働は罰なのか」、「いわゆる思想犯に対して国家はどう関わるべきか」といった哲学的な様々な議論があったと思うが、今般、拘禁刑に一本化することは、「矯正」のプログラムとして実際にどんなものが当てがわれるのか、それが受刑者本人にとって本当に「効果的」なものなのか、あるいは、単に「その意に反する苦役」にとどまるものなのかが実質的な課題になる」旨、櫻井委員より、「玉突き的な法改正の報告であるが、そもそもの刑法改正の背景についても報告があってしかるべきではないか」旨、宮崎委員より、「これまでは懲役か禁固かの決定権は裁判所が持っていたが、拘禁刑になると、刑務所ごとに各受刑者に対する刑務作業の内容を決めることになる。受刑者の出所後の再犯率にも影響があるかもしれず、本当に実効性のあることが各刑務所にできるのか懸念が残る」旨、小田委員より、「刑務作業の中身の判断主体が裁判所から刑務所に移るという問題があり、警察としても必要な意見は言うべきである。政府全体としてこのことをどう考えているのかも含め、もっと説明をしてほしかった」旨の発言があり、次長から、「これまでも、刑務所における再犯防止プログラムのため、例えば警察から被害者のおかれている状況等について情報提供をしているが、警察庁としても、全国的な視点で、何かもう少しできることがないか、課題として研究してまいりたい」旨の説明があった。

 

(3)「治安に関する世論調査」の結果について

   官房長から、「治安に関する世論調査」の結果について報告があった。

   安藤委員より、「世論調査は、耳目を引くような凶悪犯罪が起こった後など、行うタイミングにより結果に影響があると思われるので、そこは少し考慮しておく必要があると思う。いずれにしても、その時の世論の一つの姿を現したものであるから、受け止めて今後対応していただきたい」旨、宮崎委員より、「例えば国民の防犯カメラに対する意識など、世の中の価値観そのものが変わっていることを捉えるためにも有益な調査である。この結果を今後の政策の礎としていただくとともに、我々も世の中の意識変化を敏感に汲み取る姿勢をとり続けていく必要がある」旨の発言があった。

 

(4)令和3年度監察の実施状況及び令和4年度監察実施計画について

   首席監察官から、令和3年度に「災害に係る危機管理体制の点検及び構築の状況」を実施項目として行った監察の実施状況と、令和4年度監察実施計画の実施項目を「被害者の心情に配意した適切な性犯罪捜査の推進状況」及び「人身安全関連事案への迅速かつ的確な対応状況」とする旨の報告があった。

   宮崎委員より、「良い事例は他の地域でも有効に活かせるよう、情報共有をしていただきたい。また、各都道府県警察には、監察目標を立てた段階から、緊張感をもって対応していただきたい」旨、安藤委員より、「昨年の監察実施項目は、適切な時機に警備局と合同で行ったものであり、評価できる。年度途中で会計検査院の指摘は受けたものの、その後迅速に手当てしており、今後もそのような姿勢で対応していただきたい」旨、横畠委員より、「来年度の監察実施項目は、国民からの信頼を確保するという意味で、必要不可欠な重要なテーマである」旨、櫻井委員より、「来年度の監察実施項目のテーマは、いずれも私人間の紛争の問題について警察が入るという意味で似通っており、警察がきめ細かく対応できるのかが問われている分野である」旨、小田委員より、「今年度のテーマでハザードマップの見直しの話が出たが、多くの県がハザードマップの作成の過程から関わっており、しっかりやっている印象である。また、新年度の実施項目についても、特に性犯罪の証拠保全に係る資機材の整備状況に注目している。被害者が子供の時の性被害について、大人になってから被害であったことに気が付き、被害申告がなされたときのための備えができているかを確認していただきたい」旨の発言があり、首席監察官から、「監察結果の推奨事項や指摘事項を各都道府県警察にフィードバックして、更に対策が浸透するようにしてまいりたい。また、来年度の実施項目は、御指摘も踏まえ、刑事局、生安局と連携して行ってまいりたい」旨、警備局長から、「ハザードマップの作成については、警察として救出救助、安心安全の確保という観点から、積極的に関与していくべきと考えている。警察では、他県の反省教訓や色々な考え方が各都道府県に共有されているので、それらをハザードマップにしっかり反映できるよう、引き続き防災部局とも協力して進めてまいりたい」旨の説明があった。

   櫻井委員より、「気候変動で想定外の自然災害が発生し、防災行政については責任の所在といった問題も含め、警察への負担が増している状況である。警察としても発言するべきは発言していくべきである」旨の発言があった。

 

(5)令和3年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況について

   生活安全局長から、令和3年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況について報告があった。

 

3 その他

(1)櫻井委員より、「国会で警察法の一部改正案が審議されているが、その中で指摘されていることを踏まえ、今後の警察庁の体制についても考慮していただきたい」旨の発言があった。

 

(2)議事終了後、3月12日をもって任期満了となる安藤委員より、「就任以来5年間、皆様の支えで無事に国家公安委員会委員としての務めを果たせた。国際情勢や社会経済情勢が大きく変化し、価値観の多様化により、警察に求められる役割も形が変わってきている中、治安上の諸課題や警察運営の在り方などについて一緒に考えてきた。また、全国各地を視察し、現場の警察職員が昼夜を問わず一所懸命に取り組んでいる姿に接し、現場の警察職員が更に活躍するためには何が必要か、何ができるのかを考えながら議論に臨んできたが、警察も社会の変化に適応したしなやかな組織に、しなやかな働き方に変わりつつあると実感している。今後も権力の持つ意味の重大性を念頭に置き、関わる人たちの人権に十分配慮して職務を遂行し、国民の期待に応え続ける警察であってほしいと願う。最後に仕事に向き合う際の私の思いを。「叡智と勇気を持ち、心の中は冷静、公正、厳正に、しかも温かく優しい眼差しを忘れず、毅然と職務を行う。」心に留めていただければ幸いである」旨の挨拶があった。

   委員長(小田委員代読)より、「安藤委員には、元裁判官という経歴から、豊富な御経験と高い御見識に基づき、様々な御指摘・御指導をいただいた。また、御多忙の中、出張や公安委員会連絡会議を通じて、各都道府県の公安委員会委員との意見交換を積極的に行っていただいた。国家公安委員会の審議を大変充実したものとしていただいた御尽力に対し、厚く御礼申し上げる」旨の送辞があった。