定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 令和4年9月15日(木)

午前10時00分 〜 午前11時20分

 

場 所 国家公安委員会室

 

第2 出席者 谷委員長、小田、櫻井、横畠、宮崎、竹部各委員

露木長官、緒方次長、小島官房長山本生活安全局長、大賀刑事局長、楠交通局長、原警備局長、河原サイバー警察局長、増山技術総括審議官

佐野審議官(犯罪被害者等施策担当)

 

第3  議 事

 

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)「雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整理に関する規則案」について

「雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整理に関する規則案」について説明があり、原案どおり決定した。

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)「全国犯罪被害者支援フォーラム2022」の開催について

審議官(犯罪被害者等施策担当)から、「全国犯罪被害者支援フォーラム2022」の開催について報告があった。

宮崎委員より、「デリケートなテーマの企画内容をよく作り上げてくれたと思う。この企画で更に人が傷つくことのないよう、細心の注意を払いつつ、その後の政策に反映できるようにしていただきたい」旨、竹部委員より、「犯罪被害者支援、特に性犯罪、性暴力の被害者支援は、医療、法律、心理学等の各分野の叡智を結集して取り組んでいくべき分野だと思う。私個人としても、勉強してみたい分野の1つであり、このようなフォーラムの開催はとても有り難い」旨、横畠委員より、「被害者支援の問題は、個々人が心の問題を一生引きずることもあり、制度ではカバーしきれない、人がカバーしなければならない場面が必要なものであるが、このようなフォーラムの開催は、被害者の方々を支える人たちが大勢いることを知ってもらう、大変意義のあるものだと思う。今回はテーマがデリケートな内容であるために、全てオープンにするわけにはいかないが、広報の仕方を工夫して、様々な被害者支援があることを広く国民に知ってもらえるようにしていただきたい」旨、小田委員より、「警察の犯罪被害者支援は20年ほど前にスタートし、ここまで継続して発展させてきたことで、警察に対する信頼を高めた政策だと思っている。今回のテーマは難しいものであるが、これまで培ってきた知見を生かし、成功させていただきたい」旨の発言があり、審議官(犯罪被害者等施策担当)から、「誰もが犯罪被害に遭う可能性がある中で、特に潜在化しがちで、犯罪被害者が、自分が悪かったから被害に遭ってしまったと思ってしまいがちな犯罪について、警察としても、丁寧に信頼を築きながらあたたかく継続的に支援していくことに力を入れてまいりたい」旨の説明があった。

櫻井委員より、「産官学という形で実学指向の人々が集まる学会が出現することで学問や学会のイメージが大きく変貌していきている中で、警察には警察法の考え方や警察政策学会のような古典的なものがある一方で、知見の集積の場にもなっている犯罪被害者学会のような現代的なものもある。うまく両輪を回して進めていただきたい」旨の発言があった。

 

(2)令和4年秋の全国交通安全運動の実施について

交通局長から、令和4年秋の全国交通安全運動の実施について報告があった。

竹部委員より、「私が承知しているある外国の例であるが、車道で制限速度をオーバーしている車をほとんど見かけない。それは交通網に多数の監視カメラが張り巡らされているからであり、速度超過の車両にはそのオーナーに罰金の請求や減点がオンライン上で行われるシステムが構築され、警察官の人件費を削減するとともに、交通の安全が保たれている社会が実現されている。また、学校、住宅街等、事故の危険性の高い信号のない交差点等では、歩行者の有無に関わらず、ドライバーが必ず一時停止をしなければならない横断歩道が設置されるなど、ドライバーに多くの義務を課している仕組みがある。諸外国の交通安全に資する取組も是非参考にしていただきたい」旨、横畠委員より、「交通安全運動は毎年恒例となっており、意義のあることではあるが、マンネリ化しないよう工夫をしていただきたい。今回は電動キックボードがマスコミにも取り上げられているが、ルールが複雑で分からないという言い訳がまかり通らないよう、この運動を機会に、守るべき交通ルールを徹底して指導し、悪質・危険な違反行為は取り締まることによって、遵法精神を育んでいただきたい」旨、小田委員より、「秋の交通安全運動の重点項目には、歩行者よりもドライバーに対する注意喚起を上位項目とするべきと伝え、そのとおりにしてもらった。また、来春の交通安全運動であるが、その実施期間については、子供の安全を最優先にぜひ再検討していただきたい」旨、宮崎委員より、「諸外国の交通システムには、文化論、コントロールの発想や遵法精神など国民性のようなものがあり、その国の意識や価値観まで含めてのものになる。交通安全運動のような毎年行われる運動は、国の基本的なスタイルにまで踏み込んだものだとの気概と使命感を持って取り組んでいただくとともに、歩行者のマナーも含め、この国の行動規範を見直す機会としていただきたい」旨の発言があり、交通局長から、「諸外国の交通ルールは私たちも勉強してまいりたい。来春の交通安全運動の実施時期については、関係機関・団体との兼ね合いもあると考えているが、警察としては新学期が始まるタイミングで、新入生に向けた色々な安全対策を講じてまいりたい。ドライバーの横断歩行者保護の徹底等については、都道府県警察にもしっかり取り組むよう指導している。また、電動キックボードについても、始めが肝心であり、関係行政機関や事業者と安全教育の議論を進め、しっかりとルールを周知し、守ってもらえるよう進めてまいりたい」旨の説明があった。

 

(3)岸田内閣総理大臣のアメリカ合衆国訪問に伴う警護警備について

警備局長から、岸田内閣総理大臣は、9月19日から9月23日までの間、国連総会出席等のため、アメリカ合衆国訪問予定であり、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

 

(4)令和4年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について

サイバー警察局長から、令和4年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について報告があった。

宮崎委員より、「サイバー事案の捜査は、サイバー攻撃の事前予告があった段階で何ができるか、攻撃の未然防止をどう評価するのかなど、これまでの捜査とは違う角度からの対処や、新しい切り口が必要になり、サイバー警察局の存在感を内外にアピールすることも重要な「力」になる」旨の発言があり、サイバー警察局長から、「事案が発生してからの捜査だけではなく、更なる攻撃等を抑止する観点からの対処も非常に重要である。政府全体で考えていくべきことであり、警察庁も主体性を持って、関係省庁と共に、法制度を含めた必要な研究、検討を進めてまいりたい」旨の説明があった。

竹部委員より、「サイバー攻撃の脅威が深まる中で、日本は攻撃手口から遡って犯人を特定する技術力は有しているが、その先の対応は国境や法的問題もあり難しい。当面は防御力を高めることが必要である。それを実現するには官民連携が不可欠であり、民間企業が成長産業において競い合う原理・活力をうまく利用し、それに警察が持っている情報を併せることで、サイバーセキュリティ産業の育成と国としての抑止力の向上の双方につなげていくことができるのではないか」旨の発言があり、サイバー警察局長から、「官民連携はエッセンシャルな課題である。各種経済団体を通じ、サイバー情勢に関する情報共有の枠組みを構築し、セキュリティを高めることが企業のメリットとなることを認識してもらえるよう、広報啓発を積極的に行っている。その活動を通じ、企業側から被害の情報が迅速に警察に共有されれば、更に充実した対策の立案にも寄与するものと考えている」旨の説明があった。

櫻井委員より、「キャッシュレス決済サービスの不正利用防止については、送金可能金額の引き下げをするのであれば、国際ブランドのクレジットカードの決済基盤を利用しているキャッシュレス決済等に切り込むべきではないか」旨の発言があり、サイバー警察局長から、「クレジットカードの流通経路が非常に複雑になってきている一方、クレジットカード情報を窃用して行われる犯罪が非常に増えているため、クレジットカードの関係業界にもアプローチし、対策を推進していくことを考えている」旨の説明があった。

横畠委員より、「サイバー攻撃に関しては、捜査には国境という制約もあり、被害に遭わないための指導が残念ながら今のところ最も有効な対抗手段になっているため、防犯指導をしっかり進めていただきたい。他方で、技術面の対抗能力についても、すぐに捜査で使えるかどうかは分からないが、長官官房に技術企画課が新設されたということもあるので、力を入れて能力向上を図っていただきたい」旨の発言があり、サイバー警察局長から、「サイバーに関する技術は日進月歩で進展しており、それに遅れをとらないよう、更に人材育成に注力してまいりたい」旨の説明があった。

 

3 その他

(1)大阪府警における被留置人の自殺事案について

櫻井委員より、「大阪府警における被留置人の自殺事案について、適切でない措置がとられたという報道があったが、警察庁の対応や見解を伺いたい」旨の発言があり、官房長から、「当該事案については、自殺に至る経緯や、留置の在り方、報道対応等について、現在大阪府警において調査中である。警察庁でも、大阪府警から報告を受けた内容をしっかり検討し、調査の在り方や体制について必要な指導をしているところである」旨の説明があった。