定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 令和4年10月13日(木)

午前10時00分 〜 午前11時00分

 

場 所 国家公安委員会室

 

第2 出席者 谷委員長、小田、櫻井、横畠、宮崎、竹部各委員

露木長官、楠官房長山本生活安全局長、大賀刑事局長、太刀川交通局長、原警備局長、河原サイバー警察局長、増山技術総括審議官

 

第3  議 事

 

1 議題事項

(1)警察庁組織令の一部を改正する政令案等について

官房長から、警察庁組織令の一部を改正する政令案等について説明があり、原案どおり決定した。

小田委員より、「新しい警備第二課の人員については、どのように確保する計画なのか伺いたい」旨の発言があり、警備局長から、「当面は、都道府県警察において警護に習熟した方に警察庁に出向していただき、警護計画の審査や現場における指導等をしてもらう予定である。出向者は、全国的な視野で様々な警護現場を見て、実際に指導することで、都道府県警察に戻った後も、その知見を生かし、その県警に寄与することになる」旨、長官から、「補足であるが、警察庁には、一般職で採用している、専門的な知識技能を蓄積することが期待されている警察官もいることから、それらの職員についても育成をし、このような部門に配置していくことを考えてまいりたい」旨の説明があった。

宮崎委員より、「根本的に警護の在り方を見直したことが、机上の空論ではなく、実質的に効果をあげるよう、新たな組織を作ったことは非常に有効である。都道府県警察から出向してきた人が、各地域との太いパイプとなれるように運用できれば、良い仕組みになると思う。あわせて、組織犯罪対策部内の組織改編も、役職を調整する「改編のための改編」ではなく、その有効性を実証できるような形で進めていただきたい」旨、櫻井委員より、「警察庁の任務という点から考えると、人や予算を、仕事の重要度に応じて局をまたいで柔軟に移動することができる工夫があると良い」旨の発言があり、長官から、「今の定員や予算の配分が適正なものかは見直しが必要であり、警護や特殊詐欺等の組織犯罪、経済安全保障等に重点的に資源を配分していきたいと考えている。時間を掛ける必要はあるが、その方向性はしっかり打ち出してまいりたい。また、組織犯罪対策は暴力団をターゲットの中心にしてきたが、犯罪の背後に暴力団とは限らない集団がいることもあり、組織犯罪対策部の組織を見直すことで、これまでとは異なる戦略的な攻略を念頭に、暴力団対策や薬物銃器対策のほか、特殊詐欺や風俗、賭博等を総合的に絡めながら諸対策を推進してまいりたい」旨の説明があった。

竹部委員より、「警察庁が、新たな社会的な変化に対応していくために、組織犯罪の取締り関係を統合する組織改編をするのであれば、都道府県警察にもそのことをしっかり説明してほしい。また、2つの課が1つになると、その中の組織統制が重要になることから、そこのリーダーになる人には、ガバナンスに配慮していただきたい」旨、横畠委員より、「最近は、いわゆる半グレや緩いつながりの組織が暗躍し、暴力団とは捉え方を変えていかないと捕捉できなくなっている。それらの組織のどこまでを対象とするのかなど、組織犯罪対策第二課の役割をより具体的に明確化するとともに、組織的な犯罪についての新たな捜査手法などについても具体的な検討をしていく必要がある」旨の発言があった。

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、国会の状況について報告があった。

 

(2)監察の取扱い事案について

大阪府の巡査による青少年健全育成条例違反等事案に関し、同府警察は、同巡査を免職処分とする予定である旨、島根県の巡査長による大麻取締法違反事案に関し、同県警察は、同巡査長を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

3 その他

(1)SNSに起因する子供の性被害防止に関する対策について

生活安全局長から、SNSに起因する子供の性被害防止に関する対策について報告があった。

横畠委員より、「子供の性被害防止対策は、国際的にも重要であり、力をいれていただきたい。一方で、性被害に限らず、盗品の売買等でもいわゆるプラットフォーマー事業者が、私人間の情報交換や取引を仲介する形で、実質的に犯罪の機会を提供したり助長したりしている現状が見受けられる。結果が生じている以上、事業者は防止の責任を免れないはずであるので、少なくとも犯罪に直結するものや犯罪を構成するやりとりについては法的な対応も考えつつ、それに近いようなやりとりは、自主的な規制をしっかりと求めるという方向で進めていく必要があるのではないか」旨、竹部委員より、「ヨーロッパの発想では、規範を満たしていない企業に関しては、法的な制裁以外にも、株価等、市場によってペナライズされるような方向性も狙いとなってくる。国際的な場でこのような話を協議する際には、そのようなことも頭に入れて議論に臨んでいただきたい。また、性被害等につながるおそれのある投稿をした者への注意喚起・警告であるが、予防対策としての最後の水際であることから、投稿した者が、自分ごととして捉えられるよう、テンプレートではない、刺さり込むようなメッセージを考えていただきたい」旨、櫻井委員より、「最近のデジタル化の話は、個人主義や自由など、近代国家の根本思想みたいなところと関わっており、SNSの問題は、実はとても大きな問題であると理解している。できることから少しずつやっていくしかないが、フィールドを狭くしても効果的な措置は執り得ないと思う」旨、宮崎委員より、「ここまでSNSが発達してしまうと、教育の在り方が大事になると思う。子供たちのSNSへの投稿例をみると、子供たちはしたたかな部分もあるが、被害に遭うことを防止するためには、具体的な警告を行うなどの工夫も必要ではないか。また、事業者による取組の支援については、SNS事業者だけではなく、キャリアの通信事業者も対象に加えてはどうか」旨の発言があった。

小田委員より、「警察は、今のこのSNSに起因する子供の性被害防止対策について、関係機関と連携してうまくいっていると思っているのか、または、まだ被害が広がりかねないという危機感をもっているのか、現在の認識を伺いたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「現状では被害が高止まりし、一方で、被害者となりうる世代が入れ替わってきているので、しっかりと検挙対策、世論対策をしていかないと、現状がより悪化するという認識を持っている。まだSNSの制度が流動的なうちに、行政がしっかりと対策を練り込ませていかないといけないと思っている」旨の説明があった。

櫻井委員より、「若い世代にネット社会の怖さを伝えるためには、具体的な例を明示し、警察や専門家が助けたくても助けられない状況に簡単に立ち至ってしまうということを実感させることが必要であり、情報発信の仕方を工夫していただきたい」旨の発言があった。