定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 令和4年10月27日(木)

午前10時00分 〜 午前11時30分

 

場 所 国家公安委員会室

 

第2 出席者 谷委員長、小田、櫻井、横畠、宮崎、竹部各委員

露木長官、緒方次長、楠官房長山本生活安全局長、大賀刑事局長、太刀川交通局長、原警備局長、河原サイバー警察局長、増山技術総括審議官

 

第3  議 事

 

1 議題事項

(1)「道路交通法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案」等に対する意見の募集について

交通局長から、「道路交通法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案」等に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。

竹部委員より、「現在は、日本の交通社会にレベル4の自動運転を導入する実験段階にあると理解しているが、法的枠組みとしては、一般的な交通社会に適用されるものなので、実験で得られた新たな技術的な知見や運用面の知見等に応じて法令を改正するなど、今後に期待したい。また、世間の自動運転に期待する動きは強く、法的枠組みができあがれば、活用を考える事業者も現れると思う。今後、国交省とも連携して、どのような時間軸で本格的な社会実装に至るのかを示しつつ、普及活動に努めていただきたい。交通社会の自動運転化が普及することは、日本経済そのものの中身を変えてしまうくらいのインパクトがあるものなので、そういうことも頭に入れて警察としての役割を果たしていっていただきたい」旨、横畠委員より、「自動運転はユーザーや企業等、色々な立場から期待はあるが、技術が追いついていない。期待の大きさに押されて安全を軽視することがないよう、技術レベルをしっかり見極めて、制度を考えていただきたい。色々な実証実験から広く情報を収集し、どういう条件を設定しなければならないのかなどを細かく検討することが今後の課題になると思う」旨、宮崎委員より、「交通体系が激しく変化する中で、従来の道交法の改正だけでは対応できない分野も出てくると思う。今後の多様な車社会を見据え、後追いで慌てるのではなく、待ち構えて捉えるような法体系の作り方を研究していただければと思う」旨、櫻井委員より、「この道交法関係の改正は、警察庁の行政機関としての力量が問われている。他省庁とのやりとりでは、事柄の性質上、警察は釘を刺す場合が多いと思うが、自動運転に係る道交法等の改正についても、流されることなく対応していただきたい。また、道交法には、多種多様な要素が入ってきており、今後特出しで分離した方が適切なケースもあることを見据えた上で法改正を行っていただきたい」旨の発言があり、交通局長から、「安全軽視をせず、将来を見据えて実証実験の結果を把握し、また、必要があれば道交法の見直しに向けた検討もしていきたい」旨の説明があった。

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)人事案件について

官房長から、人事案件について報告があった。

 

(2)国会の状況について

官房長から、国会の状況について報告があった。

 

(3)監察の取扱い事案について

千葉県の巡査長による麻薬特例法違反事案に関し、同県警察は、同巡査長を免職処分とする予定である旨及び京都府の巡査による建造物侵入、盗撮等事案に関し、同府警察は同巡査を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(4)総合経済対策(案)について

官房長から、総合経済対策(案)について報告があった。

 

(5)「人身取引対策行動計画2022(仮称)」(案)の策定について

生活安全局長から、「人身取引対策行動計画2022(仮称)」(案)の策定について報告があった。

竹部委員より、「この行動計画は、グローバルな重要課題として議論されていると思うが、現代の人身取引は、ほとんどが民間経済で発生している。諸外国ではサプライチェーンに人権問題を抱える企業は企業価値に影響するという取組がされており、本行動計画としては、日本も含め、経済界全体に網掛けしていく必要がある。企業側としてすべきポイントの1つは社員個人が搾取の行動をとらないこと、もう1つはサプライチェーンの末端にある企業まで人権規範を浸透させることである。また、警察の仕事ではないかもしれないが、技能実習生等の外国人が小さな問題でも相談しやすく、秘匿性が守られるような環境を整えるよう、関係省庁に働き掛けていただきたい」旨、小田委員より、「今後の経済状況にもよるが、日本人が外国で被害者となるような構造に変化していく可能性もあり、実態に合わせた計画を立てる必要があると思う」旨、横畠委員より、「人身取引の被害者には、無理矢理に強制労働させられている人のほかに、お金を稼ぐために自らの意志で働く人も含まれるが、そのような人でも、利用して搾取すること自体が許されない行為であり、そこはぜひ意識して取締りに当たっていただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「企業に大きく網掛をすることについては、警察が出席している様々な会合において、意識して発言してまいりたい。また、日本人が被害者となる場合には、海外への送り出し行為をするブローカーが日本国内に存在することになるので、そのようなブローカーが生まれないよう目配りをしてまいりたい」旨の説明があった。

 

(6)FATF対日相互審査の評価結果の引上げ申請の結果について

刑事局長から、FATF対日相互審査の評価結果の引上げ申請の結果について報告があった。

櫻井委員より、「FATFの指摘は厳しいものが多いが、正鵠を得た指摘も少なくなく、法制度の改善に向けてしっかり対応していただきたい」旨、宮崎委員より、「FATFの指摘を手段としてうまく利用していただきたい。また、新たに政府に設置する政策会議においては、ぜひ主導権を握りながら進めていただきたい」旨、小田委員より、「見当違いだと感じる指摘もあるが、国際標準に合わせざるを得ないところもあり、淡々と対応していただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「FATFの指摘は日本の法制度と必ずしもうまく適合しないところはあるが、国際標準に合わせられるところは合わせるよう、しっかり対応してまいりたい」旨の説明があった。

 

(7)第90回国際刑事警察機構(ICPO)総会の開催結果について

刑事局長から、第90回国際刑事警察機構(ICPO)総会の開催結果について報告があった。

宮崎委員より、「このような国際機関の中枢に日本の代表が入れるよう、ロビー活動を含め、しっかり進めていただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「過去にはICPOの総裁や副総裁を警察庁職員が務めたこともあり、適任者がいれば、積極的に送り込みたいと考えている」旨、長官から、「政府全体でも国際機関における日本のプレゼンスを高めていく意向であり、負担している分担金に見合ったポストを獲得できるよう、引き続き対応してまいりたい」旨の説明があった。

 

3 その他

(1)沖縄県におけるバイク乗車中の少年との接触事案について

刑事局長から、沖縄県におけるバイク乗車中の少年との接触事案について報告があった。

横畠委員より、「事件当初から大きく報道され、結果も重大なものであった。送致罪名からは警察はしっかり捜査を行ったと思うが、今後、検察捜査、裁判等の司法手続の中で事実が認定されるプロセスを経るものであり、今後の手続に注目している」旨、宮崎委員より、「本件は、単独で取締りをしていたことに問題があり、取締り手法を見直し、現場に徹底させていただきたい。また、怪我をした少年に寄り添い、精神的に支えていただきたい」旨、櫻井委員より、「職務質問時に停止をしない者に対し、警察官職務執行法上、強制的に停止をさせる権限がないことに課題があるのではないか」旨、竹部委員より、「職務質問のために停止を求めたことは自然なことであると思うが、暗い中で走行する者を停止させることは今後も起こりうることであり、どのように対処するつもりなのか伺いたい」旨、小田委員より、「被害者の少年に対するフォローはしっかりと行っていただきたい。また、再発防止のため、暗がりで取り締まる場合は、警察官にライトを当てるなど、相手に警察官がいることを分からせる手法もあるのではないか」旨の発言があり、次長から、「今回の警察官の職務執行については、時間帯、場所の選定、資機材の活用、体制等の観点から改善すべき点が多々あると考えており、今回の事案の反省と教訓を全国にフィードバックし、再発防止の徹底を図りたい」旨、刑事局長から、「被害者支援はしっかり行ってまいりたい」旨、長官から、「走行するバイクの停止のさせ方、取締りの在り方については、見直す必要がある」の説明があった。