定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 令和4年12月1日(木)

午前10時00分 〜 午前11時00分

 

場 所 国家公安委員会室

 

第2 出席者 櫻井、横畠、宮崎、竹部、小田各委員

露木長官、緒方次長、楠官房長山本生活安全局長、大賀刑事局長、太刀川交通局長、原警備局長、河原サイバー警察局長、増山技術総括審議官

谷首席監察官

 

第3  議 事

 

1 議題事項

(1)「犯罪収益移転危険度調査書」の作成・公表について

刑事局長から、「犯罪収益移転危険度調査書」の作成・公表について説明があり、原案どおり決定した。

竹部委員より、「報告書の、外国人が関与する犯罪例の箇所でいくつか具体的な国名が挙げられているが、それらの国々がFATFに加盟している国とは限らない。日本で対策をしていても相手の国で筒抜けになることもあるので、日本の国益のためにも、FATFのほか、地域グループ等においても手当てをして、全体でしっかりと網を広げる努力を継続していただきたい」旨、横畠委員より、「この危険度調査書はマネー・ローンダリングの問題点や論点、制度等を包括的かつ詳細にまとめたマネ−・ローンダリング対策の教科書的なものであり、各業界団体を通じるなど様々な方法で、現場で実務を担当する方々にまで内容が普及するよう努めていただきたい」旨、宮崎委員より、「ウェブサイトに掲載すると、ページビューなどで反響も計れるので、次回はこの危険度調査書がどのくらい手応えがあったのかなども検証していただきたい」旨、小田委員より、「FATFの指摘も年々的を射たものとなり、日本もFATFの対策室を作るなど体制整備をし、対応の精度が上がってきている。引き続きこの調子で対応していただきたい」旨、櫻井委員より、「FATFは当を得ない指摘もある一方、それを補って余りある忖度のない鋭い指摘もするので、そういうところを積極的に対応していただくのが良いと思う。また、犯罪集団が、暴力団などにグルーピングされない集団に拡散しつつあるが、現状では対策が難しいところ、お金の流れを追うことは極めて有益である。その意味で、マネー・ローンダリング対策の重要性は高まると思っており、調査書を作成するだけでなく、捜査や情報収集にも活用していただきたい」旨の発言があった。

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)人事案件について

官房長から、人事案件について報告があった。

 

(2)国会の状況について

官房長から、国会の状況について報告があった。

 

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、福島県警察の巡査部長による窃盗等事案に関し、同県警察は、同巡査部長を免職処分とする予定である旨、栃木県警察の巡査長による占有離脱物横領等事案に関し、同県警察は、同巡査長を免職処分とする予定である旨の報告があった。

横畠委員より、「身寄りのない家主が亡くなり、検視の際に室内に金銭や貴金属等が残っていると判明した場合、誰かが別途管理するなどの手立てはないのか伺いたい」旨の発言があり、首席監察官から、「家屋の状態を確認した上で対応をしているところであるが、その後の捜査で相続人がいないなどの状況が判明すれば、それらの管理や引き継ぎについて、自治体と連携を密にしていくことが重要であると考えている」旨の説明があった。

 

(4)サイバー事案の被害の潜在化防止に向けた検討会の開催について

サイバー警察局長から、サイバー事案の被害の潜在化防止に向けた検討会の開催について報告があった。

竹部委員より、「被害情報が欲しい警察と信用を守りたい企業の両者をどのように両立させるか、という議論が必要であると思う。組織なり機関なりを間に挟み、そこで匿名性を持たせるなどのバッファ機能を働かせることが考えられるが、議論の方向性について御教示いただきたい」旨の発言があり、サイバー警察局長から、「被害に遭った企業がバッシングされるような土壌があるため、今回の検討会では、被害の情報を積極的に公表してくれた企業側にメリットとなるインセンティブを付与するような仕組みを検討したいと考えている。JC3など官民連携の既存の枠組みも活用しながら、警察と企業の双方にとってメリットとなり、その結果、情報が適切に共有され、それが対策や取締りにも生かされていくような仕組みを作ってまいりたい」旨の説明があった。

宮崎委員より、「サイバー事案は実空間や国境を越えるので、このような検討会も国内で閉じたものではなく、グローバルな形で開催し、様々な事例を読み込みながらブレーンストーミングができるような体制にできるとよいと思う」旨、小田委員より、「サイバー事案の被害の潜在化の要因は、企業が警察に被害届けを出しても摘発してもらえるか分からないこと、更には被害の報道等で二次被害を受ける可能性があることにある。これらを打開するには、警察に情報提供すれば摘発してくれるという信頼を得ることが必要であり、そのためにも新設されたサイバー特捜隊は大きな事件を検挙していただきたい。また、被害を受けていること自体に気がつかない企業もあると思うので、警察が持っている技術を示しつつ、企業と日頃から連携をしていくことが重要である」旨、横畠委員より、「サイバー事案は被害に遭った企業や団体に対する局所的な対応でどうにかなるものではなく、全体を見渡し、攻撃者の傾向や手段を把握し、対策を講じないと有効なものにはならない。情報の集約と捜査による解明の2つの面があるが、いずれも被害者の協力は不可欠である。その前提として、警察自身がサイバー事案に対処する能力や解決する能力を身につけ、こういうことができるとアピールしていただきたい。また、事業者側は、警察が捜査を開始した場合の証拠保全等に係る制約や負担について心配していると思われるので、事業者側が早く復旧作業に入れるよう、警察は、ポイントを絞って証拠保全ができるように工夫し、それを事業者側に説明できるようにしていただきたい。あわせて、各業界を所管する関係省庁と連携した形で議論を進めていただきたい」旨の説明があり、サイバー警察局長から、「今後、検討会を開催するにあたっては、国外の関係者もスコープに入れていくことも検討したい。また、警察の解決能力、対処能力の周知については、アトリビューションの結果を広報するといったことにも取り組んでおり、多面的に取組を進め、広く国民に警察の能力を示してまいりたい。事業者側の負担軽減については、検討会を通じて有識者から実際に警察が捜査等で介入した場合の負担について、率直な意見を聞く機会を設けた上で、効果的な対策を検討してまいりたい。関係省庁との連携については、認識を共有するのみならず、それぞれの関係省庁が所管する業界に対して重要な事項について共有していただく効果もあることから、更に連携を深めてまいりたいと考えている」旨の説明があった。

櫻井委員より、「サイバー事案に特化した現代的な検討会であるので、開催方式も基本はオンライン開催とするのが良いと思う。外国人も入りやすくなる。また、目的をシンプルに設定し、その目的に合わせた人選をするとともに、毎年度課題設定をし、単年度で完結するようなスタイルに変えていくことを御検討いただきたい」旨の発言があり、サイバー警察局長から、「サイバーの世界は情勢の変化が激しいところであり、その時々の情勢に応じたトピックについて、単年度を基本に議論していく方向性でやってまいりたい」旨の説明があった。

 

3 その他

(1)全国公安委員会連絡会議について

櫻井委員より、「全公連では、警察庁の局長に良質の講演をしていただき、それに対する都道府県公安委員会委員からの質問も質の高いものであった。最近の警察行政は新機軸の施策や考え方を打ち出しているが、このような機会を通じて、都道府県公安委員会の委員の先生方に警察庁ベースの考え方を直接お伝えする、ということを少し意識されるとよいのではないか」旨の発言があった。

 

(2)公務員倫理について

櫻井委員より、「年末を控え、警察幹部の方々も飲食を伴う会合の席が増えると思われるが、警察は単なる政策官庁ではなく、捜査にコミットし得る特殊な組織であり、その職務の特殊性を踏まえ、しっかり身を律していただきたい」旨の発言があった。