定例委員会の開催状況
第１ 日 時 令和５年３月９日（木）
午前１０時００分 ～ 午前１１時３５分
場 所 国家公安委員会室
第２ 出席者 谷委員長、櫻井、横畠、宮崎、竹部、野村各委員
露木長官、楠官房長、山本生活安全局長、渡邊刑事局長、太刀川交通局長、原警備局長、河原サイバー警察局長、島﨑技術総括審議官
佐野審議官（犯罪被害者等施策担当）、原田首席監察官
第３ 議 事
（１）犯罪被害者等給付金の審査請求事案の裁決について
審議官（犯罪被害者等施策担当）から、犯罪被害者等給付金の審査請求事案の裁決について説明があり、原案どおり決定した。
宮崎委員より、「犯罪被害給付制度が定着してくると、給付の可否に関する難しい判断を要する場合も増えるが、専門家による審議はそれに十分対応できる体制になっているのか」旨の発言があり、審議官（犯罪被害者等施策担当）から、「都道府県公安委員会の判断を不服として国家公安委員会に審査を求める案件は増加傾向にあるが、数年前に体制を強化しており、引き続きしっかり判断してまいりたい」旨の説明があった。
（２）「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案」等附則による当庁所管法律の改正について
生活安全局長から、「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案」等附則による当庁所管法律の改正について説明があり、原案どおり決定した。
（３）「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」及び「古物営業法施行規則の一部を改正する規則案」に対する意見の募集について
刑事局長から、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」及び「古物営業法施行規則の一部を改正する規則案」に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。
（４）「道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令案」等について
交通局長から、「道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令案」等について説明があり、原案どおり決定した。
横畠委員より、「電動キックボードについては、販売事業者等が利用者の年齢確認や運転の注意事項の指導等を行う役割を担うことが前提であるが、警察は、利用者だけではなく、事業者への指導も徹底していただきたい」旨、竹部委員より、「利用者のみならず国民全体にルールを浸透させるために、ＳＮＳの活用等、周知の方法を工夫していただきたい。また、交通弱者インクルーシブな交通社会の第一歩として将来的なビジョンを持ち、都度修正を加えながら、交通社会の中でこの乗り物が最適化できるような努力をしていただきたい」旨の発言があり、交通局長から、「ＳＮＳやメディアを活用して十分なルールの周知が行われるよう努めるとともに、安全で快適な誰でも手軽に利用できる乗り物となるよう、できる限りのことをしてまいりたい」旨の説明があった。
（５）国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
（６）国家公安委員会委員長を代理する者の互選について
国家公安委員会委員長を代理する者の順位について、委員間の互選により、３月９日以降、第１順位櫻井委員、第２順位横畠委員、第３順位宮崎委員、第４順位竹部委員、第５順位野村委員とすることとした。
２ 報告事項
（１）国会の状況について
官房長から、国会の状況について報告があった。
（２）令和４年度監察の実施状況及び令和５年度監察実施計画について
首席監察官から、令和４年度に「被害者の心情に配意した適切な性犯罪捜査の推進状況」及び「人身安全関連事案への迅速かつ的確な対応状況」を実施項目として行った監察の実施状況と、令和５年度監察実施計画の実施項目を「警護の検証・見直しを踏まえた各種施策の推進状況」及び「サイバー空間の脅威に関する諸対策の推進状況」とする旨の報告があった。
櫻井委員より、「来年度の監察実施計画の項目であるサイバーについては、サイバー空間の先端的、専門的な技術や知見の分野で都道府県警察がどれくらい対応できているのか、という点と、闇バイトのように、サイバー空間とリアル世界との関係が問われる問題への対応の２つの観点がある。警察庁と都道府県警察では認識にギャップがあると思うので、そこをどう埋めるのかを意識して、具体的な目標を設定し、しっかり対応していただきたい」旨、横畠委員より、「この監察は、計画された項目について、各都道府県警察が知恵を絞り、やるべきことをやり、人的体制を含め運用を適正化しているかについて、警察庁の職員が実際に行ってチェックするというプロセスであると理解している」旨、竹部委員より、「この監察で大切なことは、改善に関する都道府県警察側の、特に若い世代の意見や気付きを得ることである」旨、宮崎委員より、「良い事例を各都道府県警察に共有していただきたい。また、監察の実施項目だけを見るのではなく、その背景にある組織風土や意思疎通等についても注意を払っていただきたい」旨の発言があり、首席監察官から、「サイバー部門の監察の実施に際しては、当該部署の専門的知見も借りながら、必要に応じて同部門の職員を同行させることとしたい。また、都道府県警察に赴き、意見を聴く際は、実情が出てくるような問いかけを心掛け、多くのものが得られるようにしてまいりたい」旨の説明があった。
（３）監察の取扱い事案について
首席監察官から、大分県警察の巡査による窃盗事案に関し、同県警察は、同巡査を免職処分とする予定である旨の報告があった。
横畠委員より、「上司による身上調査について、もう少し踏み込めたのではないか」旨、宮崎委員より、「上司の判断で現場に出さないなどの措置がとれなかったのか検討していただきたい」旨の発言があり、長官から、「当時の状況や身上調査の仕方について確認したい」旨の説明があった。
（４）令和４年における少年非行及び子供の性被害の状況について
生活安全局長から、令和４年における少年非行及び子供の性被害の状況について報告があった。
竹部委員より、「少年非行がこれだけ減ってくると、少年担当の警察官は非行防止やＳＮＳ対策等によりきめ細かな対応をすることができるため、それが少年犯罪や非行を減少させるポジティブなスパイラルになっているのか伺いたい」旨、横畠委員より、「現在、ＳＮＳ事業者はどの程度協力してくれているのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「被害者への支援や犯罪少年への事後的なフォローなどの業務の比重が高まっており、そのようなケアがなされていることで、少年の検挙人員の減少につながっている面もあると考えている。また、ＳＮＳ事業者の取組は全体としては前進しており、年齢に応じた一部の機能制限やＡＩによる一定の書き込みの削除等をしている事業者もあると承知している」旨の説明があった。
櫻井委員より、「児童ポルノ事犯の検挙人員のうち１０代が４割を超えているが、被害者、被疑者ともに少年という事案について、違法性の根拠についてどう考えるのかが難しく、極めて現代的な類型だと思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「１０代の児童ポルノ事犯の検挙者のうち、２割弱は提供、４割は公然陳列であるが、提供は半ばいじめのような形のものもあり、しっかり検挙していく必要があると考えている。一方で、公然陳列については、それにより当該少年が更なる別の被害に巻き込まれないよう、検挙しながら指導をしていくという考えで運用していると承知している」旨の説明があった。
３ その他
（１）令和４年度サイバーコンテストの表彰式について
櫻井委員より、「先日の令和４年度サイバーコンテストの表彰式がオンラインで行われたので拝見したが、非常に良い表彰式であった。サイバー施策は全庁的な課題でもあり、ぜひ次回は長官にもご出席いただきたい」旨の発言があった。