定例委員会の開催状況
第１ 日 時 令和６年２月１日（木）
午前１０時００分 ～ 午前１１時０５分
場 所 国家公安委員会室
第２ 出席者 横畠、宮崎、竹部、野村、櫻井各委員
露木長官、楠次長、太刀川官房長、檜垣生活安全局長、渡邊刑事局長、早川交通局長、迫田警備局長、大橋サイバー警察局長、島﨑技術総括審議官
山口生活安全企画課長
江口審議官（犯罪被害者等施策担当）、片倉首席監察官
第３ 議 事
１ 議題事項
（１）「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について
刑事局長から、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。
（２）国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
２ 報告事項
（１）国会の状況について
官房長から、国会の状況について報告があった。
（２）令和５年度全国警察逮捕術大会及び全国警察拳銃射撃競技大会の開催について
官房長から、令和５年度全国警察逮捕術大会及び全国警察拳銃射撃競技大会の開催について報告があった。
審議官（犯罪被害者等施策担当）から、「犯罪被害給付制度の見直し骨子（案）」について報告があった。
櫻井委員より、「犯罪被害給付制度の見直しについては、同制度の抜本的強化として民事訴訟における損害賠償額を見据えた改定をしていくこととなっているが、犯罪被害給付制度と損害賠償制度、また、犯罪被害給付の制度設計のために参照している労災制度との関係を精査していただきたい」旨の発言があり、審議官（犯罪被害者等施策担当）から、「損害賠償制度や労災等の他の公的給付制度では救済されない犯罪被害者等の実態を踏まえて犯罪被害給付制度は設けられており、算定方法については労災等の他の公的給付制度を参考に適当な支給水準となるよう定められている。犯罪被害給付制度においては、これらの関連制度の要素を一部取り込みつつ、基本的には異なる制度として運用している」旨の説明があった。
宮崎委員より、「給付額を引き上げるだけでなく、犯罪被害に遭われた方の地域の実情に即した給付方法にも配慮いただきたい」旨、横畠委員より、「今回は給付額を引き上げるとのことだが、予算面の問題は生じないのか。この先は法改正をしなければ対応できないことになるが、どこまでできるのかという大変難しい問題が残っている。犯罪被害給付は損害賠償とは異なり、法律によって創設された権利・義務であるので、制度改正を検討するに当たっては、思想・哲学をきちんと整理する必要がある」旨の発言があり、審議官（犯罪被害者等施策担当）から、「予算措置については、財政当局とも緊密に連携している」旨の説明があった。
（４）法制審議会刑事法（情報通信技術関係）部会における調査審議の結果について
刑事局長から、法制審議会刑事法（情報通信技術関係）部会における調査審議の結果について報告があった。
宮崎委員より、「システムの構築とあわせて、アクセス権に係る規定も整備しているのか」旨、横畠委員より、「新たなシステムでは、各機関間のデータのやり取りを中央機関で一元化するとのことであるが、中央機関はあくまでも中継役であり、中央機関が捜査や令状請求などの内容に関与するわけではないという整理でよいか。また、システム障害が発生した場合には、これまでどおり現場での書面のやり取りによって対応すると理解してよいか」旨の発言があり、刑事局長から、「システムへのアクセス権については、御指摘を踏まえて緻密に制度設計してまいりたい。システム構築の効率性等を考慮して中央機関を経由することとしており、刑事訴訟制度の運用はこれまでどおりである。システム障害だけでなく、システム上でやり取りすることができない証拠品等も想定されるので、これまでのような現場での書面のやり取りも可能となるよう制度設計されている」旨の説明があった。
３ その他
（１）警視庁高島平警察署における被留置者の死亡事案に係る調査・捜査結果等について
官房長から、警視庁高島平警察署における被留置者の死亡事案に係る調査・捜査結果等について報告があった。
竹部委員より、「一見すると適切な対応をしているように見えるが、異常事態に対する最悪の結果を想定した行動がとられていないので、その点を再発防止の施策の底流に据えるべきである」旨の発言があった。
宮崎委員より、「現場の警察官は糖尿病に関する知識が不足しているが、全てを教養するのは無理がある。医師でない警察官は病状を判断できないので、医療機関との連携を強化し、きちんと診察を受けさせるか、対処の判断を仰ぐことが重要である」旨の発言があった。
野村委員より、「糖尿病が一気に重篤化するということが、当時の現場の警察官には想像できなかったのだろう。再発防止対策をしっかりと講じていただきたい」旨の発言があった。
櫻井委員より、「十分な知識もなく、医師の知見を聴取できないままに対応した結果について現場の警察官が責任を負うという構造自体に改善の余地があるのではないか。病院や医師との連携強化や、関係省庁に申入れを行うなどして今後の改善策について検討する必要がある。また、警察が対応可能な部分と、そうでない部分を整理することが、今後の大事な課題のひとつである」旨の発言があった。
横畠委員より、「刑事手続で身柄を拘束するということの重大性をしっかりと再確認すべきである。身体拘束中の被疑者の生命・身体の安全の確保については、警察が責任を負っている。そのため、組織として、留置業務に対する管理・監督を強化し、ルールを整備し、所要の教養を施すなどの対応がとられてきたと承知しているが、最後のところは、やはり被留置者と直接接する現場の担当官による具体の状況に応じた適切な判断と行動によっている。その意味で、担当官には改めて自覚を促す必要があると思われるが、他方、管理・監督の立場にある者には、実効的な医療との連携の確保など、現場の担当官が困難に陥ることがないようサポートすることをお願いしたい」旨の発言があり、長官から、「被疑者の逮捕、勾留の必要性は捜査部門で判断するが、命が最優先であることはいうまでもないことであり、留置部門が適切に判断できるよう捜査と留置の両部門の責任者に対する指導を徹底してまいりたい」旨の説明があった。