定例委員会の開催状況
第１ 日 時 令和６年２月２２日（木）
午前１０時００分 ～ 午前１１時３０分
場 所 国家公安委員会室
第２ 出席者 松村委員長、横畠、宮崎、竹部、野村、櫻井各委員
露木長官、楠次長、太刀川官房長、渡邊刑事局長、早川交通局長、迫田警備局長、大橋サイバー警察局長、島﨑技術総括審議官
和田審議官（生活安全局担当）
片倉首席監察官
第３ 議 事
１ 議題事項
官房長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。
交通局長から、「道路交通法の一部を改正する法律案」等について説明があり、原案どおり決定した。
宮崎委員より、「担当者によって異なる判断がされることのないよう、一貫した判断基準が現場に浸透するような手当をお願いする」旨、櫻井委員より、「自転車の反則行為に対する反則金の適用を行うことは合理的だと思うが、判断基準の斉一化に加えて、どういう時に取締りを行うのかも含めてよく検討していただきたい」旨の発言があり、交通局長から、「有識者検討会においても、どのような場合に反則行為として取締りを行うのかについての考え方を整理して国民に明らかにしていくべきとの提言もいただいており、こうした考え方をまとめて都道府県警察を指導しつつ、公表を検討してまいりたい」旨の説明があった。
（３）「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」について
交通局長から、「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」について説明があり、原案どおり決定した。
宮崎委員より、「物流業界では異業種間で共同輸送を行うなど新しい動きが出ている。今般の改正案は物流に関係する方々の働き方改革に端を発したものだが、当初の趣旨が全うされているか、一定期間を経た後に検証していただきたい」旨の発言があり、交通局長から、「今般の改正は物流政策に係る政府全体の取組のうちの一つであり、特に警察としては、この改正によって高速道路上の事故の変化などをしっかりと確認してまいりたい」旨の説明があった。
（４）国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
２ 報告事項
（１）国会の状況について
官房長から、国会の状況について報告があった。
（２）令和５年における被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則の施行状況について
官房長から、令和５年における被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則の施行状況について報告があった。
（３）令和５年中の懲戒処分者数について
首席監察官から、令和５年中の懲戒処分者数について報告があった。
横畠委員より、「若手職員に対する指導・教養を更に強化していく必要がある。また、最近、指導する側がパワハラ等の指摘をおそれて指導を躊躇しているのではないかということも危惧されるので、若手職員に対する指導方法についての指導・教養にも力を入れていただきたい」旨、竹部委員より、「若手世代の質的変化について分析をしておくべきと考える。これまでどおりの若手職員への教養では通用しないかもしれないので、外部コンサルタント等による指導者への教育を検討してみては如何か」旨の発言があり、首席監察官から、「世代が変わる中で指導者がどのように変化していくべきかということも重要だと考えている。各県の実態を調査したり、外部講師を活用したりするなどして、指導者層に対する教養のレベルアップを図ってまいりたい」旨の説明があった。
宮崎委員より、「ＳＮＳの発達等により人間関係がフラット化している中ではあるが、警察においては、こうした社会全体の傾向と異なる指導、すなわち毅然とした態度で指導していただく場面も必要だと思う」旨、委員長より、「変えてはならないことと、変えていかなければならないことをよく見極めて対応していただきたい」旨の発言があり、首席監察官から、「御指摘を踏まえ、より時代に即した警察組織の在り方等を考えながら指導・教養を行ってまいりたい」旨の説明があった。
（４）監察の取扱い事案について
首席監察官から、京都府警察の警部補による窃盗等事案に関し、同府警察は、同警部補を免職処分とする予定である旨の報告があった。
（５）令和５年における日・米重大犯罪防止対処協定（ＰＣＳＣ協定）の実施状況について
刑事局長から、令和５年における日・米重大犯罪防止対処協定（ＰＣＳＣ協定）の実施状況について報告があった。
横畠委員より、「日本側と米国側で照会件数に大きく差異があるが、両国間で照会に関する考え方に違いがあるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「照会に係る米国側の考え方は必ずしも明確ではないが、一般的な捜査協力という意味では、日米間の協力関係は前進しているものと考えている」旨の説明があった。
櫻井委員より、「他の協定締結国と米国との間の運用について伺いたい」旨の発言があり、刑事局長から、「米国の査証免除プログラムに参加するためのメカニズムとして、現在では４０か国１地域で運用されているものと承知している」旨の説明があった。
（６）令和５年度サイバーコンテストの実施結果について
サイバー警察局長から、令和５年度サイバーコンテストの実施結果について報告があった。
野村委員より、「国際的なランサムウェア集団の摘発の報道が出ていたが、国際連携もさることながら、警察庁職員が復号ツールを開発したというのは画期的だと思う。この種の分野は人材を確保するための競争が非常に激しいので、このような職員に対する警察における処遇等の在り方に配慮いただきたい」旨、宮崎委員より、「今般の国際連携における日本警察の貢献は、国際捜査等の分野で存在感を示す非常に重要な出来事であると同時に、犯罪組織のいわゆるビジネスモデルを変える効果も有すると評価できよう。この種の分野で活躍する職員が、充実感や達成感、使命感を実感できる仕組みを考えていただきたい」旨、委員長より、「今回の件は、我が国が世界に貢献したものであり、賞賛に値する。資機材や人材の確保、育成等については、サイバー警察局だけで完結するものではなく、警察組織全体で論じる必要がある。今後、サイバー分野の重要性は増してくるので、更なる研鑽に励んでいただきたい」旨の発言があり、サイバー警察局長から、「担当職員には、警察ならではの技術や事案の取扱いに係るモチベーションを持って業務に取り組んでもらっているところであるが、どのようにしてモチベーションを高めていくか、引き続き検討してまいりたい」旨の説明があった。
櫻井委員より、「昨年からサイバーコンテストでは各県２チーム編成で、１チームには必ず女性をメンバーに入れることとしたが、女性を含むチームの位置付けを知っておきたい。性別に関係なく、実力主義は当然のことであるが、統計として女性の内訳を明示することは有意義なことである」旨、横畠委員より、「サイバー捜査やデジタルフォレンジックの分野については、性別に関係なく能力主義が貫徹しているものと理解しており、チームの編成においてもそのように運用していただきたい」旨、竹部委員より、「現場は実力主義が当然であるが、サイバー部門に限らず今後の女性の幹部登用のための参考として、女性がどういった部門に進出していけるのか、統計として女性の人数を把握しておきたいと思う」旨の発言があり、サイバー警察局長から、「御指摘を踏まえ、この分野で女性がどの程度活躍しているのか資料に明示した上、報告するようにしたい」旨の説明があった。
３ その他
（１）広島県広島中央警察署における被留置者の死亡事案について
官房長から、広島県広島中央警察署における被留置者の死亡事案について報告があった。
横畠委員より、「留置業務が適正に行われていたのかをしっかりと調査してほしい。また、本件は、警察官を被疑者とする否認事件であり、捜査のプロセスについても自殺につながるような要因がなかったかを検証しておく必要がある。遺書以外に自殺に結びつくような言動はなかったのか」旨の発言があり、刑事局長から、「本件では、早朝や深夜に渡るような取調べは行っておらず、現時点で取調べにおける問題は把握していない」旨、官房長から、「遺書以外の自殺をほのめかす言動は、現時点では把握していない」旨の説明があった。
宮崎委員より、「警視正という地位にある者は、組織内では職員を守ることを考えなければならない。留置業務や施設の実態等を知り尽くしており、自殺することにより関係職員に迷惑がかかってしまうと容易に予想できるにもかかわらず、このような行動に至った。警視正への登用は適当だったのか。関係者に対する処分を検討するにあたっては、こうした背景も踏まえていただきたい」旨、竹部委員より、「複数の女性被害者がいるにもかかわらず、加害者が法で裁かれることなく事件の真相解明を見ずに終わるというのは、いたたまれない。留置業務が適正だったかどうかというだけではなく、一人の命が失われた結果が招く関係者への影響について現場によく認識させることを再徹底してほしい。また、現場担当官においては絶対に自殺事案を起こさせないという強い気持ちが大切であり、再発防止策として、上司や監督者が留置担当官にミッションの重要性を説いていくことを望みたい」旨の発言があった。