定例委員会の開催状況
第１ 日 時 令和６年３月１４日（木）
午前１０時００分 ～ 午前１１時１０分
場 所 国家公安委員会室
第２ 出席者 松村委員長、横畠、宮崎、竹部、野村、櫻井各委員
露木長官、太刀川官房長、檜垣生活安全局長、渡邊刑事局長、早川交通局長、迫田警備局長、大橋サイバー警察局長、島﨑技術総括審議官
飯利政策立案総括審議官、片倉首席監察官
第３ 議 事
１ 議題事項
政策立案総括審議官から、国家公安委員会行政文書管理規則の一部改正について説明があり、原案どおり決定した。
（２）広島県広島中央警察署における被留置者の死亡事案に係る調査結果等について
官房長から、広島県広島中央警察署における被留置者の死亡事案に係る調査結果等について説明があり、原案どおり了承した。
横畠委員より、「捜査の過程では、自殺に結びつくような要因はなかったとのことだが、本件の留置業務においては、巡回の形骸化など一部にルーズな運営が明らかになったので、これを機に規律の徹底について改めて全国に示していただきたい」旨、竹部委員より、「調査結果等を公表する場合には、性被害を受けた複数の女性がいることに留意していただきたい」旨、宮崎委員より、「性被害を受けた被害者のメンタルケアにも十分配意していただきたい」旨の発言があった。
（３）警察法施行令の一部を改正する政令案等について
官房長から、警察法施行令の一部を改正する政令案等について説明があり、原案どおり決定した。
宮崎委員より、「警察の業務が多岐にわたる中、優秀な人材を適材適所で配置していただくことが望ましいが、特に幹部のポストについては職位を含めて定員にあてはめるということではなく、人選の際にしっかりと人格や質を考慮していただきたい」旨の発言があった。
（４）警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律施行令の一部を改正する政令案について
官房長から、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律施行令の一部を改正する政令案について説明があり、原案どおり決定した。
（５）人事案件について
交通局長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。
（６）国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
２ 報告事項
（１）国会の状況について
官房長から、国会の状況について報告があった。
（２）令和５年における少年非行及び子供の性被害の状況について
生活安全局長から、令和５年における少年非行及び子供の性被害の状況について報告があった。
宮崎委員から、「加害者、被害者ともに低年齢化が進んでいると思われる事案が発生しているので、触法少年も含めてしっかりと分析をして対策を検討していただきたい」旨、野村委員より、「児童ポルノに関しては国内外で規制に対する温度差があるように感じており、現状と問題意識について伺いたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「犯罪の低年齢化や質的変化にも留意しつつ、引き続き対策を検討してまいりたい。児童ポルノについては、規制の在り方について議論されてきた経緯もあり、国際的な動向等を踏まえつつ、法改正の必要性が認められれば関係省庁で検討することとなる」旨の説明があった。
櫻井委員より、「大学生の大麻事犯が増加しているとのことだが、２０歳で線引きするのではなく、大学生というカテゴリーでとらえた上で、大学当局に対しても薬物乱用防止対策強化の働きかけが必要である」旨の発言があり、生活安全局長から、「大麻事犯は１６歳を境に検挙人員が多くなっており、早期からの啓発活動を徹底する必要がある。大学生に対しても各種犯罪被害防止対策等の啓発活動を進めており、薬物乱用防止対策についても引き続き進めてまいりたい」旨の説明があった。
横畠委員より、「性交同意年齢の引き上げや構成要件に関する法改正があった不同意性交等罪などについては、年齢別にきめ細かな分析を行って被害者と加害者の実態を把握できるような形で統計をとっていただきたい。また、広報啓発活動と環境対策が被害防止の柱になるので、子供が理解しやすい形での広報と、児童買春等の犯行場所として増加が著しい一般ホテル・旅館等に対する協力依頼等に注力していただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「御指摘を踏まえて統計の在り方や各種対策を検討してまいりたい」旨の発言があった。
（３）令和５年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
サイバー警察局長から、令和５年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について報告があった。
野村委員より、「従来から存在している脅威の分析だけでなく、経済安全保障の問題や偽情報による選挙への介入、サイバー空間をめぐる新しい規制等についても触れるよう報告の在り方を検討していただきたい」旨、櫻井委員より、「サイバー空間は様々な主体が複雑に混じり日々流動的に動いているので、サプライサイドの責任に着目した検討をお願いしたい。また、サイバー空間には、これから展開していくであろう危険性が多々存在するので、こうしたものにも先んじて着目して研究を進めていただきたい。サイバー警察局は、警察庁各部局のハブとして積極的に業務を推進していただきたい」旨の発言があり、サイバー警察局長から、「関係部局と調整し、報告の在り方について検討してまいりたい。サイバー空間では、様々な主体やシステム、新しいサービス等が複雑に絡んでいると認識しており、引き続き警察庁内の各部局や関係機関等と連携して対応してまいりたい」旨の説明があった。
宮崎委員より、「フェイク情報等は社会の脅威となっており、世界全体を動かしてしまうような大きな力を持つ場合もある。ＡＩにも注目すべきであり、これらは先手を打って様々な対策を講じていく必要がある」旨、竹部委員より、「ディープフェイクやハルシネーションは、既に犯罪の中で流通し始めていると考えられるので、注意喚起のためにも、こうした脅威についての記述があってもよいのでないか。サイバー警察局が発足して２年となり、蓄積された知識や経験に基づく取組が実社会で実証されており、国民から信頼される組織になりつつあると実感しているので、引き続き能力を洗練していっていただきたい」旨、横畠委員より、「重要犯罪密接関連情報等の犯罪を助長したり、これに加担することになるような情報を拡散させてしまっていることについて、サイバー空間の信頼性や安全性を担っている通信事業者等が当事者意識、責任意識を持つことが重要なので、関係省庁に働きかけるなどして、通信事業者等の責任と役割にスポットを当てる努力をしていただきたい」旨の発言があり、サイバー警察局長から、「ＡＩ等を利用した新たな形態の犯罪については、海外の捜査機関との情報交換を進めるなどして実態解明や捜査を推進しており、必要に応じて広報を行うなどして注意喚起してまいりたい。通信事業者等に対しては、関係省庁とも連携し、実態を踏まえた対策を働きかけてまいりたい」旨の説明があった。
委員長から、「サイバー分野を充実させるためには、人材の確保と国際連携が最大のポイントとなるであろう。Ｇ７を通じるなどして国際的な連携を深めてまいりたい」旨の発言があった。
３ その他
（１）北海道における方面本部制度等について
櫻井委員より、「北海道には方面本部制度があるが、人口の推移等も踏まえつつ、方面本部制度の在り方に係る中長期的な方針を立て議論を進める必要性がある」旨の発言があり、長官から、「御指摘を踏まえ、様々な観点から検討してまいりたい」旨の説明があった。