定例委員会の開催状況
第1 日 時 令和6年4月18日(木)
午前10時00分 〜 午前11時05分
場 所 国家公安委員会室
第2 出席者 横畠、宮崎、竹部、野村、櫻井各委員
露木長官、楠次長、太刀川官房長、檜垣生活安全局長、渡邊刑事局長、早川交通局長、迫田警備局長、大橋サイバー警察局長、堀内技術総括審議官
片倉首席監察官
第3 議 事
1 議題事項
(1)国家公安委員会の権限に属する事項の専決区分の整理(案)について
官房長から、国家公安委員会の権限に属する事項の専決区分の整理(案)について説明があり、原案どおり決定した。
(2)「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案」について
刑事局長から、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案」について説明があり、原案どおり決定した。
(3)「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等に対する意見の募集について
交通局長から、「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。
櫻井委員より、「車両メーカーの動きに左右されるのではなく、実状にあわせて試験車両等を用意するのは当然のことであり、今般の規則改正における行政の動きは遅いといわざるを得ない」旨の発言があり、交通局長から、「規則の改正については、御指摘を踏まえ迅速に対応できるよう進めてまいりたい」旨の説明があった。
宮崎委員より、「以前、アルコール検知器の設置を義務化する際の意見募集で、機器の製造が間に合わないという意見が多く寄せられ、施行時期を大幅に遅らせたことがあった。今回も実態に即した規則の改正ではあるものの、意見募集の結果によって施行の時期が変わるようなことがあると政策決定の趣旨が全うできないこととなるが、本件の見通しは立っているのか」旨の発言があり、交通局長から、「メーカーと調整し、車両の生産に応じて段階的に施行することとしている。経過措置も設けており、従来の形でのMT車による試験も可能なので、全国一斉に車両が導入されなくても対応は可能である」旨の説明があった。
横畠委員より、「MT車が減少し大半がAT車となっている現状は、法律上の免許制度が予定している実態と乖離している。将来的には、AT車での免許を基本として、MT車を運転する必要があれば別途講習を受けるといった仕組みとすることも考えられるのではないか」旨の発言があり、交通局長から、「状況を踏まえつつ、制度の見直しについて研究していく必要があると考えている」旨の説明があった。
(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
2 報告事項
(1)国会の状況について
官房長から、国会の状況について報告があった。
(2)監察の取扱い事案について
首席監察官から、福岡県の警部補による傷害致死事案に関し、同県警察は、同警部補を免職処分とする予定である旨、岡山県の巡査長による窃盗等事案に関し、同県警察は、同巡査長を免職処分とする予定である旨の報告があった。
横畠委員より、「岡山県のような事案が発生する環境が改善されていないことは遺憾に思うので、しっかりとした再発防止措置を講じていただきたい。特に現金や貴重品の取扱いが問題となる事案を根絶するよう、監察として結果を出していただきたい」旨の発言があり、首席監察官から、「証拠品の管理等については、今年度に実施する監察の実施項目としているところであり、刑事局とも連携して都道府県警察を指導してまいりたい」旨の説明があった。
(3)令和5年度会計監査実施結果について
官房長から、令和5年度会計監査実施結果について報告があった。
横畠委員より、「民間では会計処理の電子化が進んでいるが、現状における官の会計処理の電子化の見通しについて伺いたい」旨の発言があり、官房長から、「現金経理が中心となる捜査費等の会計処理を電子化することは困難な面があり、また、財務省が所管する会計に関する規程に規律されるところもあることから警察独自で進めがたいところはあるが、電子化に対する意識は持ちつつ取り組んでまいりたい」旨の説明があった。
櫻井委員より、「指導事項が2件と大変少ないが、あまりにも問題が少ないというのも常識的な感覚からすると本当に実態を反映しているのか違和感がある。適切に公金を執行しているかを確認するため、もう少し踏み込んだ監査の実施を検討していただきたい」旨、竹部委員より、「捜査費に関する監査の視点として、経済性や効率性、有効性があると思うが、捜査費の執行については、費用対効果に縛られすぎて抑制的になることなく、柔軟性を保つことが必要なのではないか」旨の発言があり、官房長から、「監査の実施方法については、都道府県警察の監査担当部門と協力して更なる工夫の余地がないか追求してまいりたい。過去には会計監査において捜査諸雑費の私的流用事案が発覚した例もあり、合規性の部分を中心に監査を実施することとなるが、有効性については、捜査の結果として所期の目的を得られなかったからといって、それが直接指摘に結びつくものではないと考えている」旨、刑事局長から、「都道府県警察は、警察庁の会計監査による捜査費の執行状況の点検に基づき必要な指導や評価を受けながら、効果的な執行に努めていくこととなるが、決して硬直的な執行にはなっていないと考えている」旨の説明があった。
横畠委員より、「捜査費は、現場の担当課長等がしっかり部下職員の執行を監督できているかということを監査項目とすることによって成り立っている制度だと理解している。こうした制度があることは大変大事なことなので、今後ともしっかりと監査を行っていただきたい」旨の発言があった。
3 その他
(1)ネット上のなりすまし広告について
野村委員より、「ネット上のなりすまし広告が大きな問題となっているが、警察の問題意識について伺いたい」旨の発言があり、刑事局長から、「ネット上のなりすまし広告については、警察としても強い問題意識を持ち、総務省をはじめとする関係省庁等と連携し、通信事業者等に様々な働きかけを行っており、引き続き、重要課題として取り組んでまいりたい」旨、長官から、「SNS等に出ている偽の広告を迅速に削除していく実効性が問われることとなるが、警察庁としては、事業者に対する監督権限を持つ総務省との連携が対策のポイントになると考えており、刑事局、サイバー警察局を中心に取り組んでまいりたい」旨の説明があった。
横畠委員より、「偽の情報を拡散させることは、犯罪の助長や犯罪に加担する行為だということを通信事業者等に強く認識させる必要がある。通信事業者等が、あらかじめ情報の真偽を確認することは困難かもしれないが、通報等により偽の情報だと認識できた時点で、これを拡散させないための具体の対応をとることは当然の義務ではないか。こうした義務が履行されずに更なる被害が発生するようなことがあってはならず、関係省庁に強く働きかけるなどして、警察庁が議論をリードしていただきたい」旨、櫻井委員より、「先般、刑事局からSNS型投資・ロマンス詐欺について報告を受け、大変有意義な分析である旨を申し上げたが、こうした警察庁の動きは、まさにトリガーではあるものの、複数の省庁にまたがる取組は効果的な対策を打ち出すことが困難なことが多いので、今後の動きを注視したい」旨、宮崎委員より、「先進的な手口の犯罪に対する捜査のウエイトが大きくなる一方、窃盗など従来の手口による犯罪も発生しており、警察が対応しなければならない範囲が非常に広くなっているので、バランスのとれた人材育成や態勢の構築を進めていただきたい」旨の発言があった。
警備局長から、豊後水道を震源とする地震について報告があった。