定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 令和6年11月28日(木)

午前1000分 〜 午前11時35分

 

場 所 国家公安委員会室

 

第2 出席者 坂井委員長、横畠、宮崎、竹部、野村、櫻井各委員

露木長官、楠次長、太刀川官房長、檜垣生活安全局長、早川交通局長、迫田警備局長、逢阪サイバー警察局長、堀内技術総括審議官

江口組織犯罪対策部長、松田審議官(刑事局担当)

片倉首席監察官

 

第3  議 事

1 議題事項

(1)監察の取扱い事案について

   首席監察官から、広島県警察の地方警務官による国家公務員倫理規程違反事案について説明があり、国家公安委員会において、懲戒審査会に審査を要求する旨、国家公務員倫理法に基づく調査の端緒に係る報告及び調査開始の通知を国家公務員倫理審査会に対して行う旨が決定された。

 

(2)「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則及び犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則及び疑わしい取引の届出における情報通信の技術の利用に関する規則の一部を改正する命令の一部を改正する命令案」について

   組織犯罪対策部長から、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則及び犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則及び疑わしい取引の届出における情報通信の技術の利用に関する規則の一部を改正する命令の一部を改正する命令案」について説明があり、原案どおり決定した。

   横畠委員より、「今回の対象はカード形式の本人確認書類だが、マイナンバーカードがスマホに入るような場合には別途手当てをするという理解でよいか」旨の発言があり、組織犯罪対策部長から、「手当てが必要かどうかも含めて検討することになると考えている」旨の説明があった。

 

(3)「犯罪収益移転危険度調査書」の作成・公表について

   組織犯罪対策部長から、「犯罪収益移転危険度調査書」の作成・公表について説明があり、原案どおり決定した。

   宮崎委員より、「ウェブ上での閲覧を前提に工夫され、実用的なものとなっている」旨、横畠委員より、「マネロン対策は、金目当ての犯罪、特に組織犯罪の抑止、検挙のツールとして重要なものであり、国際的な協調の下、社会全体でその実効性を確保する必要がある。そのため、関係事業者において、いわば教科書として更に活用してもらえるよう、この調査書の普及を図っていただきたい」旨の発言があった。

 

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

   

2 報告事項

(1)人事案件について

   官房長から、人事案件について報告があった。

   

(2)国会の状況について

   官房長から、国会の状況について報告があった。

   

(3)監察の取扱い事案について

   首席監察官から、山梨県警部補による酒気帯び運転事案に関し、同県警察は、同警部補を免職処分とする予定である旨の報告があった。

   宮崎委員より、「山梨県の事案のように駐在所員の問題が続いているが、地域社会における駐在所の位置付けも変化しているので、その在り方を検討することも大事だと思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「人口や治安情勢等を踏まえ、都道府県警察において合理的な配置や運用となるよう常に見直しており、引き続き、駐在所の在り方については検討してまいりたい」旨の説明があった。

   

(4)令和6年度警察庁補正予算(第1号)(案)の概要について

   官房長から、令和6年度警察庁補正予算(第1号)(案)の概要について報告があった。

   野村委員より、「強盗等の犯行に加担する可能性のある者に対するターゲティング広告は効果が期待できると思う」旨、横畠委員より、「闇バイトの募集や、そのおそれのあるバナーかどうかは一見して分かるのか。こうした作業は協力団体等に委託して行うのか」旨の発言があり、官房長から、「「ホワイト案件」といったワードをネット検索するとターゲティング広告が表示され、更にそれをクリックすると警察庁の啓発動画等に遷移する仕組み作りを民間事業者に委託したり、SNS事業者に広告の掲載を依頼したりすることとしている」旨の説明があった。

   竹部委員より、「ターゲティング広告は新しいアプローチだが、今後も新たな募集手口に対応するための予算については柔軟に措置することを検討されたい」旨、宮崎委員より、「災害現場での見える形での警察力の強化と、現場の警察官の安全面にも配慮されたい。また、闇バイト関連のターゲティング広告やコールセンター事業については、その効果を分析していただきたい」旨、櫻井委員より、「先般、広域強盗のニュースで警察白書の図が引用されていたが、こうした実例は珍しく、視覚的にアピールすることの重要性を再確認した」旨の発言があった。

 

(5)第50回衆議院議員総選挙における違反取締状況について

   審議官(刑事局担当)から、第50回衆議院議員総選挙における違反取締状況について報告があった。

   野村委員より、「SNSをめぐる選挙違反についての問題意識について伺いたい」旨、宮崎委員より、「選挙運動での法が想定していない行為の続発など現実とのギャップがあるような部分については、公職選挙法を改正する動きを提言することも必要ではないか」旨、横畠委員より、「SNSを利用した虚偽情報の拡散は大きな問題であり、こうした情報の発信元の解明にはサイバー部門も関与しているのか」旨の発言があり、審議官(刑事局担当)から、「SNS上のいわゆる誤情報、偽情報の問題を含め、選挙違反に対しては、個別具体の状況に即して取締りを推進している。選挙の公正を確保するため、違反態様に応じた取締りを推進してまいりたい。公職選挙法は選挙運動のルールを定めるものなので、その改正の必要性については選挙運動の当事者で議論いただくべきものと認識している」旨、長官より、「刑事局とサイバー警察局とで態勢を組んで今回の取締りを行っており、今後もこうした枠組みで都道府県警察を支援していくこととなる」旨の説明があった。

   

(6)法務省開催「自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会」の報告書について

   交通局長から、法務省開催「自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会」の報告書について報告があった。

   横畠委員より、「本体が過失犯であっても、飲酒や速度超過など、一定の危険性を帯び、結果の重大性につながるような、運転者の意思で選択できる行為が伴うものは、その部分に形式基準を定めて加重類型にすることに問題はないと思う。法制審議会において、警察としての問題意識を明らかにすることも必要ではないか」旨の発言があり、交通局長から、「捜査の実務への影響等の検討を踏まえ、必要な意見を申し上げたい」旨の説明があった。

   委員長より、「現場の警察官が困ることのないよう対応していただきたい」旨の発言があった。

   

(7)ロシア人ランサムウェア被疑者の検挙について(国際共同捜査)

   サイバー警察局長から、ロシア人ランサムウェア被疑者の検挙について報告があった。

   櫻井委員より、「サイバー警察局の実力どおりの事案であり、もはや特段の驚きはない。今後は、よりインパクトのある事案や、他部門との連携が奏功して事案が解明されたようなより高度なケースを選別して情報発信していくのがよい」旨、横畠委員より、「ランサムウェア事案は民間企業や医療機関の関心が高く、本件は警察の能力についての信頼向上にもつながると思われるので、経営者や医家向けの専門誌などを通じた広報についても検討していただきたい」旨、宮崎委員より、「公開できる情報は惜しみなく公開していくのは大切な視点である。また、現場の捜査員の士気が高まる環境作りにも取り組んでいただきたい」旨、竹部委員より、「今回の被疑者にたどり着いた日本側の捜査手法とFBIの捜査手法に関し、互いに情報を共有しているのか」旨の発言があり、サイバー警察局長から、「広報については御指摘を踏まえて工夫してまいりたい。FBIとは必要な情報共有をし、関係各国とも緊密に協力して取り組んでおり、その取組を加速してまいりたい」旨の説明があった。