定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 令和6年12月19日(木)

午前1000分 ~ 午前11時20分

 

場 所 国家公安委員会室

 

第2 出席者 坂井委員長、宮崎、竹部、野村、横畠、秋吉各委員

露木長官、楠次長、太刀川官房長、谷刑事局長、早川交通局長、迫田警備局長、逢阪サイバー警察局長、堀内技術総括審議官

永山保安課長

 

第3  議 事

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

 (3)国家公安委員会委員長を代理する者の互選について

    国家公安委員会委員長を代理する者の順位について、委員間の互選により、令和6年12月19日以降、第1順位宮崎委員、第2順位竹部委員、第3順位野村委員、第4順位横畠委員、第5順位秋吉委員とすることとした。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

   官房長から、国会の状況について報告があった。

   

(2)監察の取扱い事案について

   新潟県巡査長による危険運転致傷事案に関し、同県警察は、同巡査長を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(3)令和7年度警察庁予算(案)の概要等について

   官房長から、令和7年度警察庁予算(案)の概要等について報告があった。

   竹部委員より、「地方警察官の人材確保は全国的な悩みであり、管区警察局等の組織的な活用など、様々な構造的視点から検討が求められる」旨、宮崎委員より、「サイバーなどの技術革新の速い分野では人材の循環が重要である。また、情報は現場の警察官にとって生命線なので、通信機器の更新と同時に通信障害のリスクを見据えた対応を検討していただきたい」旨の発言があり、官房長から、「人材の確保は大きな課題であり、管区警察局と都道府県警察が互いを相乗的に活用していくことや即戦力となる人材の中途採用など様々な採用活動を行ってまいりたい。また、スターリンク活用の実証実験を行うなど衛星回線を使った通信の補完や、民間事業者の基地局が機能不全に陥った場合等を想定した連携方策を検討している」旨の説明があった。

 

(4)「悪質ホストクラブ対策検討会」の報告書について

   保安課長から、「悪質ホストクラブ対策検討会」の報告書について報告があった。

   横畠委員より、「短い期間でしっかりとした議論を行い、大変良い報告書にまとめていただいた」旨、竹部委員より、「法の整備による抑止効果が大変期待されるところ、罰則強化の点も含めて積極的な広報に努められたい。また、性風俗業界からスカウトグループへの金の流れを封じるには、国税庁と緊密に協力することも必要である」旨、宮崎委員より、「悪質な業者に対する罰則を重くし、割が悪いと思わせることができるよう思い切った法改正が必要である。また、周知の仕方を工夫して、この報告書を世間に広く知らしめていただきたい」旨、野村委員より、「罰則強化は重要なポイントであり、現在は特に法人に対する罰則が軽すぎるので、思い切った形で法案に生かしていただきたい」旨、秋吉委員より、「方向性としては大変よいと思う。具体的規制にあたっては、規制すべき行為と正当な行為とが混在しないよう慎重に検討していただきたい」旨の発言があり、保安課長から、「個人と法人の罰則を差別化し、特に罰金を抜本的に見直すことを検討するとともに、被害者と加害者を減らすための広報啓発活動を工夫してまいりたい。御指摘のとおり、国税庁との一層の連携が必要と考えており、他の関係省庁とも協力しながら対応してまいりたい」旨の説明があった。

 

(5)静岡県警察による再審無罪判決を踏まえた事実確認について

   刑事局長から、静岡県警察による再審無罪判決(いわゆる「袴田事件」)を踏まえた事実確認について報告があった。

   野村委員より、「60年前の出来事を現代の価値観で判断する難しさはあるが、問題点を見つめ直して前に進もうとする姿勢は、信頼を取り戻す一歩として大事だと思う」旨、秋吉委員より、「60年前の事件と片付けるのではなく、引き続き、人権の尊重や適正な取調べの重要性に関する教養を組織として実施していくことが大切だと思う」旨、竹部委員より、「人権を尊重しつつ結果を出すことは、警察の捜査に対する信頼と、捜査に従事する警察官の自信につながるので、気を引き締めて取り組んでいただきたい」旨、宮崎委員より、「検証に対する謙虚な姿勢を高く評価するが、これがゴールではない。50年以上の時が経った現代に生かすべき事項を整理して実践していただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「今回の検証結果などを生かし、不適正事案の防止に向け、不断の努力と改善を進めてまいりたい」旨の説明があった。

 

(6)令和7年新年一般参賀に伴う警備について

   警備局長から、「令和7年新年一般参賀が行われることに伴い、令和7年1月2日(木)、所要の警備を実施する」旨の報告があった。

   横畠委員より、「今回の警備では手荷物の預かり措置は執らないのか」旨の発言があり、警備局長から、「小さな手荷物は所要の検査の後、持ち込むことが可能である。他方、大きな荷物は持ち込めないので、スーツケースなどを持参する可能性がある人向けに、鉄道会社の協力を得て駅構内で外国語を含めたアナウンスを行うなどの措置を講じてまいる」旨の説明があった。

 

(7)大規模災害における警察活動の高度化の推進結果について

   警備局長から、大規模災害における警察活動の高度化の推進結果について報告があった。

   横畠委員より、「被災地に監視カメラを設置することは犯罪の抑止力となるが、録画だけでは効果が限られるので、遠隔でモニタリングが可能で声かけ機能を備えたカメラがあれば有効ではないか」旨、竹部委員より、「網羅的に掲げられた課題に対する手当てがしっかりされている。全国への資機材の早期配備と被災地に派遣される警察官の衛生面も含めた安全確保に向け、引き続き取り組んでいただきたい」旨、秋吉委員より、「被災現場に重点的に防犯カメラを設置した後に別の場所で災害が発生した場合、既設の防犯カメラをどのように運用するのか」旨、宮崎委員より、「被災地で活動する警察官の安全確保は重要なので、平時から災害の危険性やハザードマップの確認などの教養を行うべきだと思う」旨の発言があり、警備局長から、「最新の資機材を研究してまいりたい」旨、保安課長から、「防犯カメラにはリース契約のものや警察が独自に購入しているものなどがあり、警察保有のカメラについては必要に応じて付け替えることとなる」旨の説明があった。

 

(8)国際ブランドに対する不正クレジットカード番号の提供による被害拡大防止について

   サイバー警察局長から、国際ブランドに対する不正クレジットカード番号の提供による被害拡大防止について報告があった。

   野村委員より、「今更感は否めない取組だが、被害額が少なかった当時は、クレジットカードの不正利用被害に対する国際ブランドの意識が不足していたのか。また、同じく銀行の決済システムを使う電子マネーもこの枠組みで対応できるのか」旨、宮崎委員より、「カード情報を個別に盗むというアナログの時代が長かったところ、決済の部分を不正に押さえて一斉に情報を盗む手法が広がることで、急激に今回のような対応の重要性が増したということと理解される」旨、横畠委員より、「今回の対応は、クレジットカードの不正利用による被害、補償費負担の増大を背景とするものと理解するが、サイバー分野における官民の役割の在り方について考えさせられるところがある。そもそもクレジットカード番号が漏えいした場合にそれが不正利用されないように措置することは、警察がカード会社に「依頼」するというものではなく、警察の協力、情報提供を受けてカード会社がその本来業務として行うべきことなのではないか。一般に、いわゆるサイバー空間を巡る安全の確保、秩序の維持、被害の防止、信頼の保持などについては、通信サービスを提供する通信事業者を始め、通信を利用した様々なサービスを提供するプラットフォーマーや決済事業者などの民間事業者が第一義的な責任を負うものであることを自覚して、当事者意識をもって、すなわち相応のコストを負担して対応することが求められるのではないか。いわゆるサイバー分野で事業者が提供するサービスに対する攻撃やその犯罪目的等による不正利用に迅速、的確に対処する機会と手段は、事業者の側にあるのであり、警察の役割は、原則そのような事業者の対応を助けるということになるのではないか」旨の発言があり、サイバー警察局長から、「この枠組は不正クレジットカードの情報提供であり、電子マネーは含まない。これまでの国際ブランドの不正対策は、カード会社によって温度差があったものの、手続が簡素化されることにより対策の促進が期待できる。近年、特にSNSなどのプラットフォーム事業者の役割の重要性が増し、責任も重くなっている中で、警察は犯罪の実態を踏まえて事業者に必要な対策を促していく必要がある。御指摘を踏まえ、引き続き、官民連携にも力を入れながら不正対策に取り組んでまいりたい」旨の説明があった。