定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 令和7年1月23日(木)

午前1000分 〜 午前10時50分

 

場 所 国家公安委員会室

 

第2 出席者 坂井委員長、宮崎、竹部、野村、横畠、秋吉各委員

露木長官、楠次長、檜垣生活安全局長、谷刑事局長、早川交通局長、迫田警備局長、逢阪サイバー警察局長、堀内技術総括審議官

 

第3  議 事

1 議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)各都道府県運転者管理システムの警察共通基盤への集約完了について

   技術総括審議官から、各都道府県運転者管理システムの警察共通基盤への集約完了について報告があった。

   野村委員より、「知識のない者には理解できないぐらい大変で重要な作業なので、共通基盤への集約に携わった職員を評価していただきたい。このシステムでのマイナ免許証の移行に備える期間は大変短いが、現時点で問題はないか」旨、宮崎委員より、「システムを統合した場合、一つの穴が生じると全国に多大な影響を及ぼす可能性があるが、セキュリティは万全か」旨、横畠委員より、「今回を一つの節目として、引き続き共通基盤への移行の取組を進めていただきたい。システムに関し、国と地方の予算の分担はどうなるのか」旨の発言があり、技術総括審議官から、「マイナ免許証の移行プロセスは最終的な受入テストの段階にあり、本年3月24日からの運用に向け順調に進んでいる。統合するシステムはクローズドであり、また、不具合が生じても第二拠点で補完できる体制を整えている。従来、都道府県警察のシステムは各都道府県費で運営されていたが、今回の統合に伴い国費で運営することとなり、都道府県警察はランニングコストを負担する予定である」旨の説明があった。

   

(2)「仮装身分捜査」の実施について

   刑事局長から、「仮装身分捜査」の実施について報告があった。

   竹部委員より、「現行法上可能とはいえ、ガイドラインを定めて実施することは民主的なアプローチであり、その姿勢を評価したい。匿名・流動型犯罪グループとの戦いにおける「ゲームチェンジャー」として、この手法を大いに活用してもらいたい。ただし、従事する職員の安全確保が第一なので、現場での動きを丁寧に確認していただきたい」旨、秋吉委員より、「SNS等の記載から、具体的に何の犯罪の募集かが分からない段階で、具体的にどのような実施計画書を作成するのか。また、強盗や窃盗で検挙するには実行の着手が必要であろうし、どのような事実をもって強盗予備と見るかの判断も難しい場合があると思われる。現場では検挙したいという気持ちが強く働く可能性があるので、検挙や撤退するタイミングのコンセンサスを得る工夫をしたり、実例を検証したりして、現場の判断の適正化を図る必要があると思う」旨、刑事局長から、「様々な募集があるので、網羅的に計画書に記載するのは難しいが、匿名性の高いアプリでのやり取りに移行した後は、捜査主任官の指揮の下での捜査によって、対象犯罪以外の犯罪にどのように対応するのかなども計画書で定めることになる。また、実行犯の検挙については、事案ごとに指揮官が総合的に判断していくことになる」旨の説明があった。

   宮崎委員より、「「雇われたふり作戦」との呼称よりも、「仮装身分捜査」の方が状況を的確に表しているのではないか。また、この捜査の正当性をSNS等のプラットフォーマーだけでなく様々な民間事業者に理解してもらうなどして、新たな連携の在り方を検討する必要がある」旨の発言があり、長官から、「世の中に分かりやすく伝わり、さらには指示役や首謀者にきちんと伝わることで、彼らに犯罪を思いとどまらせる効果も考えたものであり、場面に応じた使い分けに配意している」旨、刑事局長から、「様々な民間事業者と連携し、協力を得ながら仮装身分捜査の精緻化を図ってまいりたい」旨の説明があった。

横畠委員より、「仮装身分捜査は、「捜査」と称しているが、実際は捜査の端緒を得る活動として開始される場合があると理解してよいか。その結果、対象犯罪以外の薬物事犯や売春事犯などに関係する募集であった場合はどうするのか。また、雇われたふり担当の警察官が指示役の指示に従い実際に動く時は、指揮官が無線等で逐一その動きを把握し、相当数の警察官がその周辺で監視、警戒を行うなどした上で、組織的に犯行の阻止、実行犯等の検挙を行うということでよいか。さらに、この際、雇われたふり担当の警察官と指示役との通信をリアルタイムで捕捉、解析することにより、そのアカウント等から指示役の特定につなげることができるよう工夫していただきたい。加えて、仮装身分表示文書等の作成は、外形的には、文書偽造罪等の構成要件に該当し、その作成名義人の法益を害する行為であるので、関係者の理解を得るほか、後日の告発や違法捜査を理由とする国賠訴訟等に備え、それが捜査の端緒を得る活動を含む捜査に必要で、職務上正当なものであったことを具体的に証明することができる文書を併せて作成しておくのがよいのではないか」旨の発言があり、刑事局長から、「募集への応募が対象犯罪の端緒を得るための活動となることは当然考えられる。その結果、対象犯罪以外の犯罪の情報が得られた場合には、その情報を担当部門に提供することが想定される。また、仮装身分捜査の実施にはチームとして組織的な捜査活動が必要であり、具体的なオペレーションの実施に向け、都道府県警察と検討を始めている。捜査の過程で得られる通信等の情報も有効に活用し、上位被疑者の特定につなげてまいりたい。仮装身分表示文書等の作成については、必要事項を実施計画書に明確に記載することで組織的な判断がなされたことを担保してまいりたい」旨の説明があった。

   委員長より、「仮装身分捜査を入り口として、実行犯の検挙にとどまることなく、どのようにして指示役等まで突き上げて検挙していくのか検討していただきたい。また、現場の捜査員が不安に感じていることもあると思うので、安心して仮装身分捜査を実施できるよう説明を尽くしていただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「仮装身分捜査を実施し、早い段階で実行犯を検挙することができれば指示役等につながる情報量が格段に増えることが期待されるので、あらゆる捜査手法を組み合わせ、上位被疑者の検挙につなげてまいりたい。また、現場の捜査員の不安を払拭できるよう、捜査の各段階での対応など必要な説明を行ってまいりたい」旨の説明があった。