警察刷新会議第4回会議議事要旨

1.日時

平成12年4月26日 16時5分ころから18時15分ころまで

2.場所

グランドアーク半蔵門3階「光」

3.出席者

氏家座長、樋口座長代理、大森委員、大宅委員、中坊委員、後藤田顧問
保利国家公安委員会委員長、田中警察庁長官、佐藤警察庁次長

4.議事要旨

(1)事務連絡・公聴会

ア ホームページに寄せられたご意見・ご要望について

座長指示に基づき、事務局から、警察刷新会議ホームページに寄せられたEメールを論点ごとに整理した資料の説明が行われた。

イ 大阪公聴会について

座長指示に基づき、事務局から、大阪公聴会の進め方について概略説明が行われた。公募の意見発表者の選考については、座長一任とされた。

(2)警察の情報公開に関するガイドラインについて

前回会議の議論を踏まえ、原案のとりまとめに当たった委員から説明が行われ、警察の保有する情報の公開に関するいくつかのガイドラインの例をとりまとめるに至り、今後提言に盛り込んでいく方向で意見の一致をみた。

警察の保有する情報の公開に関するいくつかのガイドラインの例(概要)

  1. 情報公開法に基づく開示請求を待たずに行う公表の基準

    警察庁の施策を示す訓令・通達の公表の基準

    1. 不開示情報を含まない訓令・通達については、発出後速やかに警察庁のホームページに掲載する。
    2. 不開示情報を含む訓令・通達についても、その訓令・通達の名称や概要をホームページに掲載するよう努める。

    これにより、従来原則として公表されていなかった訓令・通達に、国民が自由にアクセスできることとなる。

  2. 情報公開法に基づく開示請求に対して行う開示の基準

    • 情報公開法第5条第4号(公共の安全等に関する情報)に関する開示の基準
      この規定により不開示とする情報は、手の内を知らせることなどにより、現在又は将来の犯罪の予防・鎮圧・捜査に支障を及ぼすおそれがあるものなど刑事法の執行を中心としたものに限定し、風俗営業の許認可や交通の規制などいわゆる行政警察活動に関する情報は、開示する。ただし、他の情報公開法に基づく不開示情報に該当する部分を除く。
      これにより、いわゆる行政警察活動に関する情報については、原則として開示することとなる。
      犯罪捜査等の個別の警察活動に支障を及ぼすおそれがないと認められる会計支出文書(旅費、会議費(いわゆる食糧費))については、開示する。ただし、いわゆる個人に関する情報(情報公開法第5条第1号)等不開示情報に該当する部分を除く。
    • 警察庁は、情報公開条例上の実施機関となっていない都道府県警察に対し、実施機関となる方向で検討を進めるよう指導するとともに、実施機関となった都道府県警察に対し同様の基準を策定するよう指導すること。
  3. 懲戒事案の発表の基準

    「懲戒免職事案」と「懲戒免職以外の懲戒事案等」に分けた上、発表の基準をできるだけ明確に定める。
    これにより、懲戒事案の発表について、その範囲や内容が明確化することとなる。

意見
  • A 都道府県公安委員会が行う運転免許の停止処分は、事案が多く、ある程度の裁量のゆとりがないといけない。あまり細かい基準を定めると公安委員会の判断の仕様がなくなる。この処分の基準は出していくのか。よく考えてほしい。

(3)警察の苦情処理について

困りごと相談(仮称)の充実強化と苦情申出制度の創設について、前回会議の議論を踏まえとりまとめに当たった委員から説明が行われた。

議論の結果、公安委員会制度、監察制度の在り方とも関係するので、引き続き検討することとされた。

説明された苦情申出制度の概要

  1. 警察職員の職務執行に関し苦情のある者は、理由を記載した文書により、警察署長を経由して又は直接に、警察本部長に申し出ることができる。
  2. 警察本部長は、苦情の申出があったときは、その旨及び処理方針を公安委員会に報告するとともに、遅滞なく調査を行い、誠実に処理する。本部長は、処理の結果を公安委員会に報告の上、苦情申出人に対し通知する。
  3. 公安委員会は、苦情処理の適正を確保するため、警察本部長に対し、具体的又は個別的に指示することができる。
意見
  • A 都道府県公安委員会は、警察の職務執行におけるある意味での監督機関であり、苦情というのはまさに職務執行に対するものである。職務執行に対する苦情と困りごと相談は性格的に違うのでこれを分け、住民は公安委員会に直接苦情申出ができるようにすべき。警察への苦情を処理して警察を管理するのが公安委員会ではないか。
  • B 現行の警察法の規定上、公安委員会による警察の「管理」の内容として、特に必要な場合に個別的あるいは具体的に指示することを含むという解釈もあり得る。他方、苦情申出制度を警察法に書き込むことにより「管理」の一形態として「指示」することが明確になる。
  • A 警察庁は国家公安委員会の管理の下にある。もう少し公安委員会を活性化してはどうか。
  • C 公安委員会は市民の代表として警察をチェックする機能を有する。本部長の苦情の処理に不服があれば公安委員会が再審査できるようにすべき。
  • C 神奈川、新潟、埼玉の3つの不祥事案をどうクリアするかが我々の課題である。警察本部長を信頼するとしてもチェックする機能は必要であるし、それが公安委員会の仕事である。
  • D 公安委員会制度を強化し、活性化しようという前提は共通している。この問題は、公安委員会制度を議論するときに整合性を図ればよい。
  • C 公安委員会の在り方、監察の在り方、苦情処理の在り方の3つは有機的に関連しており、一番の中心は公安委員会の在り方である。公安委員会の在り方を審議した上で、この問題に戻るべきである。
  • E 「困りごと相談」という表現は、警察は何でも引き受けるといっているように聞こえ不適切。仕事が増えている中で、本当に処理できるのか。本来やらなければならない犯罪捜査などに力が行かなくなったら、本末転倒極まりない。国民の依存体質を助長して、警察の仕事が増えるばかりになるのではないか。
  • D 「困りごと」というと何でも警察に持っていくという印象になるから、ある程度抑制するようなネーミングにした方がいい。
  • F 困りごと相談の充実強化と苦情申出とは分けてはどうか。困りごとがすべて公安委員会まで行くわけではない。
  • A 民事不介入の原則と、警察が受け付けて処理しなければならないこととの関係をどう考えるのか。住民を守る、保傅の精神と裸の権力であることの2つの性格をどこまで調和させるか、警察とは何かという難しい問題である。
  • D 桶川の事件も民事不介入の原則が曲解された、そういうことが一般の警察官の中にあったというのが大きな問題の一つである。制度を精密化するということも必要であるが、最初の窓口になる苦情受付けの人の感覚をどういうふうにするかということが大切である。
  • C 制度の問題と人の問題の両方について警察刷新会議として意見を出す必要がある。
  • E 個々の警察官の判断力、センスの問題で、両極端にぶれず、ほどほどのところで止まるのは難しい。マニュアルが作れるものではない。

5.次回以降の会議予定

次回は4月28日15時から。
議題は、監察と公安委員会の現状について。

速報版のため、事後修正の可能性があります。